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2013年3月[Sanada発 現場から]


[韓国と中国、そして日本]

 

 私は、米国がTPP交渉に日本を引きずり込んだ一つの背景、否、期待については、
「経済規模の大きい日本を加えるという期待感に加えて、日本に日中韓FTA締結のリーダーシップを取らせ、その日中韓FTAを基にして、韓国、そして中国をも米国が主導するTPPに参加させる。」
との意向があるものと見ています。
 しかし、そうした一方で、日本が日中韓FTAに於いてリーダーシップを取る難しさも指摘されており、実際には、中韓FTAが日中韓FTA交渉に先行するのではないかとの見方も存在しています。
 そして、実際に中韓の根底に於ける経済関係は緊密化してきているといった報告も、最近では、しばしば見られるようになってきました。

 
 そこで、今回のこのレポートでは、そうした中韓関係について、簡単にご報告をしておきたいと思います。
 まだまだ、一部の見方ではありますが、それでも、こうした見方が存在していることをご認識戴ければと思います。

 
  「最近では、韓国の首都圏のアパート分譲事務所に中国人の訪問が頻繁になっている。
いわゆる“不動産ツアー”に来ている中国人が増加している。
首都圏のみならず、済州市などの観光地の高級住宅団地でも中国人の不動産購入が増えており、
“上海と広東省の富裕層の一部で、最近、済州道投資のミニブームが起きている。
最近は上海より済州道で多くの契約が成立することもある。”
といった見方も出ている。」
との見方も出ており、また、
「チャイナパワーは既に韓国にも及んでいる。
 これは数字上でも確認されているのである。
 韓国に流入した中国人の外国人直接投資(FDI)は2012年には7億2,700万米ドルで2011年の6億5,100万米ドルより11.7%増となっている。
 中国資本が経由したと推測される香港・シンガポールなど中華圏の国まで含めば、40億600万米ドルに上り、2011年の19億3,900万米ドルの2倍以上となる。」
といったコメントも見られるようになっているのであります。

 更に、韓国政府・知識経済部からは、
「2006年以後に済州道が海外直接投資誘致に成功した12件のうち7件が中国だった。」
ともコメント、実際に、済州道に1兆500億ウォンをかけてヘルスケアタウンを造成しているのは、「中国緑地グループ」であり、こうした中国人投資家からは、
「韓国は日本と違い中国との間で、大きな政治的問題もない。
済州道を訪問した後、自然景観が良い上に休養施設が思ったより少ないとして快く投資を決めた。」
といった声も出ていると韓国国内では報じられているのであります。

 更に、数字での説明は続きます。
「中国人の所有土地も増加している。
2008年に全国で257万平方メートルだったが昨年は9月末現在で493万平方メートルと2倍近く増えている。
同じ期間に全外国人所有土地は10%しか増えなかった。
特に5億ウォンを超える不動産を5年以上所有すれば永住権を与えるという投資移民活性化措置のため済州道内の中国人土地所有が急増している。
2011年に256件だった済州道の土地取得件数は昨年には1,548件と急増した。
2年前から中国人の問い合わせが多くなった。
建物よりは開発可能な土地を多く訪れる。
人的進出も活発となっている。
昨年、韓国を訪れた中国人観客の数は283万人余りで全外国人観光客1,110万人余りのうち4分の1を占めている。
 そして、今年2月9日〜15日の春節連休期間に中華圏の韓国訪問観光客は10万4,000人余りとなった。」
といった事例も報告されるようになっています。

 そして、韓国国内では、中国人の韓国進出が活発な理由について、
「世界的な金融危機以後に中国国内に存在してきている余剰資金と中国政府の“走出去”政策の推進がある。」
とコメントされています。
 ご高承の通り、中国の政策である「走出去」政策とは中国人投資家の国外投資を奨励する政策で2001年に当時の朱鎔基首相が唱えたものであり、2〜3年前からは、大規模海外投資も増加しています。
 そして、今後も、中国政府は為替相場安定のため経常収支均衡を取り、国内での余剰資金が行き過ぎたバブルを引き起こさぬように、中国に入ってくる外貨規模相当に海外投資をしようとするであろうと思われ、対韓投資は、こうした中で更に拡大する可能性があると見ておきたいと思います。

 さて、こうして草の根で緊密化する可能性がある中韓経済が、日本の東アジアに於ける存在感に如何なる影響力を与えるのか、フォローしていきたいと思います。

 次回号も引き続き宜しくお願い申し上げます。


 
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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