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2013年4月[Sanada発 現場から]


[日本経済の行方と国際社会の懸念]

 
[日本経済の行方]

 リフレ派が推進するアベノミクス、現段階ではまだ、期待と不安が交錯しています。
 ところで、その安倍政権の経済政策の一つに、
「デフレからの脱却」
というものがあります。
 そして、その数値目標に掲げられたものが、
「インフレ・ターゲット2%」
となっていることは、ご高尚の通りであります。
 ところで、こうした中、最近、私が国内を回っておりますと、
「物価だけが上昇し、私たちには、何の恩恵もない。」
と言う声を良く耳にします。
 新政権が出帆してから、まだ日も浅い現在、
「性急にその評価をすべきではない。」
と皆さんも私も理解していますが、あまりにも現政権、そして、マスコミまでもが、
「アベノミクス」
などと言いながら、現政権の政策遂行状況を、
「性急に高く評価をしようとしていると見られること」
に、こうした皆さんや私の頭には、不安や疑念がよぎります。

 そこで、確認してみましょう。
 そもそも、デフレ対策とは、何の為に取られる政策か?
 私やこうしたみなさんの認識は、
「製品や様々なサービスの価格が上昇する。
 その結果、人々は貯蓄せずにものやサービスを買い始め、その製品やサービスを提供する人、企業のマージンの幅が拡大し利益が拡大する。
 そして、個人の収入や企業が従業員に支払う賃金も上昇、結果、個人消費が拡大する。
 すると、販売拡大の期待が高まり、設備投資も拡大、設備投資に関わる分野の景気も好転する。
 こうした結果、個人も企業も収入が増え、納税が拡大する。
 そして、財政が改善していく。
 最終的には日本人の国民生活も向上、財政状況も改善して、多くの人々が幸せになる。」
となり、めでたしめでたしとなることを期待しているのであります。

 そこで、チェックしてみましょう。
 円安進展もあり、人々が生きていく為に必要なもの、即ち、食糧、原材料、エネルギーの多くが、基軸通貨・米ドル建値となっていることから、20円程度の円安進展により、輸入インフレとなり、物価上昇は見られています。
 しかし、こうした物価上昇がまだ利益拡大には繋がっていない、或いは、製品やサービス価格にこの上昇分が転嫁できず、むしろ、マージンが減っている、企業の賃上げ意欲は弱い、個人収入も予想以上に増えておらず、個人消費の底辺拡大が見られない、むしろ、物価上昇により、庶民の生活が厳しくなっている、よって、設備投資も結果的には拡大していない、こうしたことから、デフレ対策効果は、まだまだ、景気拡大にまで繋がっていない、税収拡大も顕在化しておらず、財政状況のトレンドも改善していないと思われ、従って、現状では、アベノミクスをあまりにも良く評価することは、過大評価に繋がると私は考えています。

  一方で、国の財政を、一旦は、更に痛めつつ推進されている今般の総合景気対策は、国の借金を増やすという、行き過ぎた信用創造を背景に、
「資産デフレからの脱却」
だけを誘引し、資産を持っている人や企業には、資産インフレ効果を生み、期待感を高めようが、資産を持たざる者には利益があまり波及せず、持つ者と持たざる者の格差が拡大し、これが、潜在的な社会の不満の温床にならないかと私は危惧しています。
 いずれにしても、アベノミクスをもう少し眺めつつ、日本の底辺にいる庶民の生活が本格的に改善していくのか否か、しっかりと注目していくべきであると私は考えています。 

[国際社会の懸念]

 こうした日本の状況を意識しつつ、国際社会の懸念を如何に列挙しておきたいと思います。
 私たちの視点は少し異なる点も指摘されています。
 そして何よりも、国際社会にはまだまだ大きな不安材料が残っていると言うことを私たちも理解しておかなくてはならないと言うことであります。
 こうしたことからしても、私たちは足元をしっかりと見つめながら、頑張っていかなくてはならないと思います。

  (1)イラン情勢の軍事的発展とイスラエルの動き
  (2)中国本土経済鈍化の急加速
  (3)エジプトに於ける混乱の再発と新たなるアラブの春
  (4)EU崩壊リスクとドイツの孤立化
  (5)パキスタンの国家としての崩壊リスクとイギリス連邦に対する悪影響
  (6)南シナ海の紛争リスクと尖閣諸島問題への飛び火リスク
  (7)メキシコの麻薬カルテルによるメキシコ政府乗っ取り計画進展リスク
  (8)米国がデフレの罠に捉われるリスク
  (9)プーチン体制崩壊リスク
  (10)北朝鮮体制崩壊リスクと紛争リスク

  世界は、実体経済を遥かに上回る余剰資金問題の解決策を見出せぬ中、壊して作る=Scrap & Build=即ち、地域紛争リスク(決してWarではなく、Friction或いはDispute発生リスク)を強めながら推移している。

 次回号も引き続き宜しくお願い申し上げます。


 
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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