上述した通り、実は実体経済は強いとも見られている日本経済も、
「金融面」
から見た場合には不安が残るとの見方もあります。
そして、その究極は、
「日本国債の暴落による日本の信用力の低下が顕在化する。
その結果、円安が進展する。
その段階で日本の経常収支、外貨準備高のポジションは悪化する。
一方で、食糧や原材料、エネルギー資源の価格は上昇している。
日本はこれらの物を更に輸入しにくくなり、名実ともに一旦は破綻してしまう。」
といった厳しい見方であり、こうした一部の声にも私たちは意識を払わなくてはなりません。
そこで、ここでは、如何に日本の財政問題とその表面的な問題として起こるであろう日本国債の暴落の危険性などについて、ちょっとその一側面を眺めておきたいと思います。
昨年、大問題となったユーロ圏の財政危機については、国際金融市場では、
「一次的な操作・抑制のミスにより引き起こされたものではなく、ユーロ圏の政治・経済・金融に長年存在する問題が根本原因にあった。」
との評価が示されています。
そして、そうした見方の延長線上で、
「自国の経済成長、債務返済能力、金融システムに対して自信を失う次の国はおそらく日本ではないか。」
との見方も出ているのであります。
戦後の奇跡的な経済成長は、1980年代末の不動産バブル崩壊と株式市場の大暴落により、終焉したことは多くの人たちは否定しないと思います。
それから先、日本には、繁栄から低迷の過程を経た国民と企業、そして潜在的な負債を抱えた銀行が増えています。
そして、実際に、その回復には長い期間が費やされていますが、未だに脱却を出来ないでいます。
日本の負債総額は毎年のGDPの約2.4倍、純債務額も毎年のGDPの約1.4倍にまで達しており、世界一の負債大国となったと言えましょう。
これは、ユーロ圏のうち、ギリシャの政府債務残高のみが日本に近い水準に達しており、それだけ日本が悪い状況にあると言うことの表れとも言えます。
日本は戦後、欧米の経済システムを基礎とした上で、国民貯蓄を利用し投資を推進するという資金循環システムの中で一定の成果を上げてきました。
そして、これが企業の発展と中産階級の拡大を増長したとも言えましょう。
しかし、先進国の政府は短期金融市場からも利益を得るようになり、この制度のためにより低い利息で多くの融資を、時には必要以上に取り付けられるようになったことから、これらの政府は安易に借金を拡大し、債務が雪だるま式に増加した、日本もそうした形で公的部門の負債を拡大させたと思われます。
毎年の政府予算の約半分は年金と利息の支払いに充てられており、年金に対する支出が増えるに伴い、増加を続ける公共事業により生じた債務を返済するため、日本の貯蓄が用いられているという状況に陥っている、これはある意味での必然でありましょう。
そして、日本の国内銀行は大量の国債を抱え、国内の年金制度は将来的な支出を支えるために大量の国債を購入するように事実上推進しており、この結果、日本国債の債権者の約94%は日本国民となっていますが、その日本国民自身が日本国債を売る可能性も出てきているのであります。
また、労働人口の減少は日本の海外投資の増加を招き、これらの資金は平均年齢が低く人口の多い成長中の国、即ち、投資利益率が高い国に投じられ、投資を受けた発展途上国は経済発展を遂げ高齢化が始まった頃に借金を返済し、日本の年金とその他の福利厚生費を支えることになると考え、日本は過去数十年間にわたり、シンガポールやノルウェーでこのような戦略をとってきたとも言えましょう。
しかし、これらのメリットは一時的なものであり、また海外資本が本国に流れ込んだ場合、政治家は本国の財政赤字を見落としがちになる、そしてほっと安心した隙に、突然国債が暴落し、突然の破綻という屈辱を味わうと言う可能性・危険性を残します。
こうしたことに加えて、最近は円の長期金利も上がっていますし、とても気に掛かります。
皆様方は如何思われますか?
次回号も引き続き宜しくお願い申し上げます。
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