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2013年10月[Sanada発 現場から]


[どうなるTPP]

「TPP」、
 私の認識では、もともと東南アジアの一部の国々を軸に組成、発展させようとしていた経済連携協定に目をつけた米国は、その守備範囲を、大きく環太平洋全域に広げ、その主導権を握りながら、
「当該地域に於ける実体経済面での主導権を握る。」
という作戦に出て、これを、
「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)」
と位置づけ、発展させ、今日に至っているものと見ています。
 そして、米国が主導するこのTPPの様々な交渉の影響といったもの、或いはその影響に関するアジアの見方といったものを今日はご紹介したいと思います。

 先ず、日米関係の視点から見ると、多くのアジア諸国は、
「米国は景気回復の重要な措置として、世界3位の経済国である日本のTPP交渉参加を望み、これを日本の“日米同盟強化に対する誠意の表れ”だと捉えている。
 しかし、日米双方の経済における相互補完性は、今やさほど強くない為、自動車や牛肉などの貿易基準に於いて大きなずれがあり、根源的なリスクが存在している。
 そして、日本国内ではTPP交渉参加可否をめぐる論争が続き、国論は分かれている。
  日本は、相変わらず、米国の属国程度なのか?新たな姿勢を示すのか、注目される。」
といった見方がなされています。
 次にASEAN諸国の反応です。
 ASEAN諸国の多くは、
「米国が主導するTPP交渉への参加については異論が出ている。
 ASEAN諸国のうち、ブルネイとシンガポールは最初にTPP交渉に参加した国でもある。
 また、マレーシアとベトナムも2010年に交渉入りした。
 しかし、ASEAN諸国の多くは東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉をTPPより優先させている。
 例えば、タイ国内では、
“タイはTPP交渉参加を慎重に検討すべきである”
との声も未だにある。
 TPPはWTOの発展途上国を保護する貿易ルールを避け、米国主導の厳格な基準を実施し、なかには労働者の権益に関する内容や、参加国政府に国営企業の民営化を求める内容が盛り込まれているが、タイやベトナムなどの国がこれらの条件を飲むことは難しく、特にタイはRCEP交渉に先ずは力を注ぐのではないかと今も水面下では見られている。」
との声が中心となっています。
 そして、中国本土の反応も気になります。
 即ち、中国本土では、次のような見方が示されています。
「米国がTPPを積極的に推し進める理由は2つあろう。
 1つはアジア市場をさらに切り開き、アジア経済の急成長に便乗することである。
 そして、もう1つはアジア太平洋地域の貿易体制およびそのルールの主導権を握ることにある。
 これには、中国本土の発展による貿易秩序のバランスを取りながら、貿易ルールの制定を通して米国の同地域での政治的影響力を拡大する方法を探るという目的も含まれているのであろう。
 従って、TPPは、米国の“アジア回帰戦略”、その一方での“中国本土の軍事的封じ込め戦略”の重要な一部でもあると見られ、政治や軍事面の「回帰」と1つのまとまりを形成しているものである。
 米国が日本をTPP交渉参加に引き込めるかは、単なる貿易問題でなく、多くの政治的ニュアンスも含んでおり、同地域の政治・経済構造の動向にも大きく影響する。
 アジアで2番目に大きい経済国の日本が参加しなければ、TPPの影響力および地域と世界の貿易ルールへの制約力は非常に小さくなると言えよう。
 日本の難点は、政治面で米国の要求を極力満たす一方で、貿易上の損得も慎重に考える必要があることである。
 板挟み状態にあるなかで熟考し、日本が決断を下すことは、容易なことではない。
 そして、こうした日本の動きを睨みながら、中国本土は米国との調整を図る突破口を見出すべきであろう。
 そして、その日本を牽制、或いは中国本土自身が取り込むためには、韓国という切り札、場合によっては北朝鮮、更にはロシアカードも利用しながら、中国本土の国益を最大限に生かす道を模索すべきである。
 そうした意味でも、日中韓FTAでの主導権を中国本土が握り、これを以って、TPPに乗り込み、TPPを米国主導から、事実上、中国本土主導に切り替える戦略を取るべきである。」
といった見方が示されているものと私は認識しています。
 さて、独立国家・日本はどうあるべきでしょうか?
 動向をフォローしていきたいと思います。

 ところで、以下は、その「独立国家」観に関する私の考え方を少しだけ、コメントさせてください。
 私は、全国各地とご縁を戴きながら、行脚をさせて戴いています。
 有り難いことで、ご縁の大切さを日々感じています。
 そうして全国各地を回る際に、私は必ず、この地域は、一定レベルの生活水準を保ちながら、自給自足が出来、結果として、
「独立国家」
として建国出来るかどうかを、空想しているのであります。
 これは、私自身が、
「地方自治」
というものを強く意識しているからであります。
 例えば、先日、佐渡ヶ島を訪問しましたが、この佐渡ヶ島、
「人口約6万人のこの島は、独立国家になれるか?」

 佐渡ヶ島は、高貴な方々が流人となったことがむしろ、
「文化度の高さ」
の背景にあり、先ずは、底辺の独立国家としての潜在性を持っていると言えます。
 次に、平和主義を唱えつつ、ロシアや、中国本土、北朝鮮や韓国、そして日本の外圧をかわすべく、国連などの国際機関に加盟し、その政治力を以って永世中立性を守る外交手腕があることを前提とすると、軍事力が航空自衛隊レーダー基地の為の部隊しか存在していない佐渡ヶ島でも、ある程度、独立は見えてきます。
 自衛隊に関しては、日本国政府に必要な土地、施設を貸与して、継続、存続してもらえば良く、日本国政府がこれを嫌えば、他の国の政府に一部租借するといったケースも検討出来ましよう。
 食料は、温暖の差があり、暖かい産地の産物、例えば、佐渡ヶ島では、みかんも採れますが、その産物と寒い産地の産物が採れ、米は魚沼産コシヒカリに次ぐブランドともなっている佐渡ヶ島産コシヒカリを持ち、海産物にも恵まれていることから、かなりの高水準での量と価格の維持が可能でしょう。
 水は、島内の多くのダムで、異常気象にでも晒されぬ限り、現状では問題ないようです。
 電力を中心とするエネルギー資源には、問題がありそうです。
 特に電力のコストと不測の事態に対するバックアップ体制には、不安なしとせず、これは、独立を考える際、補助電力としての潮力、太陽光発電などの発電設備の充実が多分不可欠です。
 これは、外国籍企業となる東北電力さまはじめ、外資による民活を図って対応すると言った対策を取れましよう。
 一方、様々な耐久消費財やものについては、原地の生産設備がないことから、自給自足は無理です。
 よって、これは、輸入しなくてはなりません。
 そこで、日本を含む世界各国、企業に声がけをし、
「最も量と価格を安定化させて、定期してくれる先」
を選定した後は、そこを大切にしながら、安定供給を受ける体制をいち早く確立していかないと、独立国家体制は具現化しません。
 そして、海外からの輸入をする為に必要な資金は主として、朱鷺と温泉と素朴なおもてなしを目玉にした観光を主に稼ぎだし、一方で、佐渡ヶ島で佐渡ヶ島でしか出来ない、少量多品種高品質、高利潤の産業、企業を1社でもいいから輩出していくことが、重要となりましよう。
 独立国家的な意識をもっと強く持ちながら、世界と共生する国を作る、大切なことであり、TPPも世界との共生に役立つ仕組みとして有効されることを私は期待致しております。

 次回号も引き続き宜しくお願い申し上げます。


 
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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