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2013年11月[Sanada発 現場から]


[どうなる世界経済、どうなる基軸通貨]

 世界経済は、ものとサービスの経済的な価値判断基準である「基軸通貨」としての米ドル信認が揺らぐ中、世界経済の見通しは、なかなか難しい状況にあります。
 今回は、そうした中で示された、国際通貨基金による世界経済成長見通しとこれに対する私見、そして基軸通貨・米ドルの行方と為替相場動向について、コメントさせて戴きます。

[国際通貨基金、世界経済成長見通し]
 国際機関である国際通貨基金(IMF)は最新の世界経済見通しの中で、2013〜2014年の世界経済の成長率見通しを示しましたが、前回見通しよりも、その内容を下方修正しています。
 そこで、今月号では、そうした見通しのポイントだけ、簡単に触れてみたいと思います。
 2013年は前回となる本年7月時点の見通しより0.3ポイント低い2.9%、2014年も同0.2ポイント低い3.6%としています。
 中国本土やインドなど新興国経済が減速することから、先進国の緩やかな景気回復にも拘わらず、経済成長率は鈍化するとの見通しとなっています。
 私の見るところ、米国の動向や欧州の動きに端を発した欧州財政問題の再燃などを背景とした経済の潜在的な下振れ要因はまだまだかなり存在していると思います。
 しかし、詳細をIMFの予測から眺めると、先進国の成長率見通しは2013年の1.2%から2014年は2.0%に持ち直す見通しで、7月時点の予測と変わりません。
 これは、私の視点からコメントすれば、
「先進国経済には潜在的なリスクが存在し続けるものの、これが顕在化するとは、IMFは考えていない。」
といった表現になります。
 そして、日本については2013年の2.0%から、2014年は消費税率上げの影響などで1.2%に減速すると見込んでいる点、留意しておく必要がありそうです。
 そうです、IMFは、
「日本については、今年よりも来年は経済成長率基準で見れば、景気が悪化するであろう。」
と見ている点を、私たちは留意しておかなければなりません。
 一方で、IMFは安倍政権の経済政策を評価しているとしており、株高の効果なども含め「アベノミクス」によって2013年の経済成長率は1.3ポイント押し上げられると試算している点は付記しておきます。
 私からすると、IMFは欧米と同様、日本経済についても、景気悪化しないように、国際機関・IMFが、
「日本経済を下支えしている。」
とも映ります。
 そのうえで、
「日本は今後、成長持続には構造改革や、バランスのとれた財政再建が必要である。」
との見方を示している点、私たち日本人は、これが国際社会の、現在の日本に対する代表的な見方であるということを、強く認識しておくべきであろうかと思います。
 米国については予算の強制削減の影響などで7月時点の見通しより小幅下方修正となったものの、経済成長率は2013年の1.6%から2014年には2.6%に高まるとの見通しとなっています。
 しかし、政府機関閉鎖や政府債務上限など財政政策をめぐる政治対立、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策運営をリスクとして指摘している点、留意しておきたいと思います。
 これも、苦しいコメントです。
 繰り返しになりますが、私から見ると、
「現在、IMFは、日米欧先進国経済の再生を期待しつつ、世界経済の安定化を取り戻すことに腐心している。」
と思えてなりません。
 ユーロ経済圏の経済成長率は2013年のマイナス0.4%から2014年は1.0%とプラスに転じると予測、2013年はマイナス成長のイタリア、スペインも2014年には小幅ながらプラスになるとの見通しとなっています。
 潜在的なリスクである欧州財政危機を払拭させようと必死でありましょう。
 一方、新興国・発展途上国の経済成長率見通しは、2013年は4.5%、2014年は5.1%で、いずれも7月時点から下方修正されています。
 中国本土の経済成長率は2013年の7.6%から2014年は7.3%に減速すると見られており、インド、ロシア、メキシコなども軒並み下方修正されています。
 いずれにしても、国際機関・IMFが、こうした斑模様の見通しがなされている世界経済、引き続き、注視していきたいと思います。
 尚、IMFが示した数値は下記の通りです。

IMFの世界経済成長率見通し

 
2013年
2014年
世界全体
2.9(−0.3)
3.6(−0.2)
米国
1.6(−0.1)
2.6(−0.2)
日本
2.0(−0.1)
1.2(0.1)
ユーロ圏
−0.4(0.1)
1.0(0.0)
ドイツ
0.5(0.2)
1.4(0.1)
フランス
0.2(0.3)
1.0(0.1)
イタリア
−1.8(0.0)
0.7(0.0)
英国
1.4(0.5)
1.9(0.4)
新興国・発展途上国
4.5(−0.5)
5.1(−0.4)
中国本土
7.6(−0.2)
7.3(−0.4)
インド
3.8(−1.8)
5.1(−1.1)
アセアン5カ国
5.0(−0.6)
5.4(−0.3)
(注)単位%カッコ内は7月見通し対比増減

[基軸通貨・米ドルの行方と為替相場見通しについて]
 さて、上述の通り、信頼性が高い「国際通貨基金」が示した世界経済の見通しを意識しながら、基軸通貨の行方を眺めてみましょう。

 世界は貨幣経済の中で動いている、その基軸は米ドルである、基軸通貨・米ドルに現在、有形資産(例えば、金Goldといったもの)の担保は無く、米国の国力といった無形資産によって支えられているが故、米国に対する世界の信認が低下すると、基軸通貨・米ドル自体も揺らぐ、これは、結果として、
「世界のものとサービスの経済的な価値判断基準、スタンダードそのものが揺らぎ、結果として、世界経済そのものが揺らぎかねない。」
といったことをイメージさせるものであり、世界経済を震撼させる要素を含むことになります。
 こうした視点から見ると、昨今の米国の混乱は、世界経済に対して、悪影響を与えかねないものであります。
 そして、私には、
「米国の信認は相対的には低下していると言わざるを得ない。」
と感じられます。
 そこで、以下は、私の知人である「為替のプロ」による為替相場見通しを少しだけ引用させて戴くこととしました。
 以下、ご覧ください。

「“米国がデフォルトするかもしれない”という確率は低いけれども実際に起こった場合の影響が大きいといういわゆるテールリスクは、ぎりぎりのところで回避された。
 具体的には来年1月15日までの暫定予算を組み政府機関停止を解除、2月7日分までの債務上限引き上げによって当面のデフォルトを回避するというものであった。
 市場はこの決定を好感し米株価は上昇、米債利回りは低下した。
 一方で為替相場は米ドルが売られた。
 これは“Buy on Rumor, Sell on Fact”の動きに加えて、米国の実体経済に与える影響に注目しているからであると考える。
 政府機関は16日間にわたり閉鎖されたが民間企業にも影響を与えている。
 これによりFRBの量的緩和縮小の開始は来年3月に後退したとの見方が多い。
 大型量的緩和の継続、つまり市場への大量資金供給は株高、金利低下、そして通貨安となるわけで、現状の株、金利、米ドルの動きは説明がつく。
 米ドル/円における中長期上昇見通しに著変はないが、その時期は今回の米財政問題の一連の動きにより後ずれした。
 具体的には今回決められた2つの期日(1月15日,2月7日)を経て、その後の景気の安定が確認される3月以降となろう。
 それまでのストラテジーとしては96円台から93円台までを押し目買いとしたい。
 尚、年初来高値103.74の後の安値93.75を割り込むことになれば上昇トレンド終了となるのでそこには注意しておきたい。」
とのことであります。

 基軸通貨の信認を確認しつつ、今後も世界経済の行方をきちんとフォローしていきたいと思います。

 次回号も引き続き宜しくお願い申し上げます。


 
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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