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2013年12月[Sanada発 現場から]


[真の民主主義とは?!]

 私は、最近、しばしば、
「民主主義とは何か?」
と自問自答してしまいます。
 平和的に相対的多数の意見、希望を尊重してルール作りを行い、その秩序の中で人々が整然、安全、安心に生きることが出来る体制が民主主義の根幹にあり、その具体的実行方法の一つに、
「多数決の論理」
があるのかもしれませんが、最近の世界の民主主義は、
「見せかけの民主主義」
の中、多数こそ正義、少数の無視、そして大衆迎合的な動きが拡散し、真に民衆の声を反映してはいないのではないかとすら感じます。
 こうした中、2011年初にアラブの春のニュースが世界を駆け巡ったことは記憶に新しいことであります。
 民主化を求めた庶民の動きがチュニジアから始まり、これがエジプトへと飛び火、そしてリビアのカダフィー体制の崩壊にも繋がったことは今の世界情勢にも少なからぬ影響を与えています。
 ここでは、少し、このアラブの春の動向をフォローしてみましょう。
 スタンフォード大学の公開資料・翻訳版の一つをここでは以下のように、少し引用させて戴きます。

「―民衆は体制の打倒を望んでいるー
 2011年を通じて、このフレーズがアラブ世界の至る所でこだましていた。
 国境を問わず、新聞や雑誌、ツイッターやフェイスブック、そしてアルジャジーラやアル=アラビヤでこのフレーズが飛び交っていた。アラブ・ナショナリズムの時代は終わったが、いまやアラブ全域が政治的覚醒を経験している。何も変わらない現実に嫌気がさした若者たちは、政治的自由と経済的機会を求めて、荒涼とした現実をみても何も感じなくなった支配者たちを倒そうと立ち上がった。
 それは予想外の出来事だった。ほぼ2世代にわたって、民主化の波が南・東ヨーロッパラテンアメリカ、東アジアからアフリカを包み込んだが、中東だけは例外だった。この地域では、暴君が政治空間を閉鎖し、国とは名ばかりの領土を所有していた。それは、寒々とした光景だった。忌まわしい支配者、ふさぎ込んだ大衆、そして、いかなる正統性もない秩序に対する不満から身を投げ打つテロリストたち。アラブ人は、自分たちは呪われ、独裁者に抑えつけられる運命にあるのではないかと感じ始めていた。独裁者という人災、そして道徳的困惑を禁じ得ない目の前にある現実が、中東を他の地域と隔てる特徴になりつつあった。
 外部パワーはこの現実に見て見ぬふりをした。“それでも、アラブにとってはこれが最善なのかもしれない”と。
 たしかに、アメリカはイラク以降、ウィルソン主義を標榜し始め、自由のためにそのハードパワーを行使するようになった。サダム・フセインは身を隠していた地下壕から引きずり出され、レバノンでテロと強奪を繰り返したシリア軍部隊はこの国から締め出され、長くパックス・アメリカーナを支えてきたホスニ・ムバラクもその後ろ盾を失った。
 だが、サダム後のイラクをみれば、アメリカの民主化路線が功罪相半ばする現実を作り出しているのは明らかだろう。民主化は実現したが、市街地で血が流され、宗派間抗争が続いている。
 独裁者たちは中東から新イラクプロジェクトを締め出そうと力を尽くし、そしてイラクは炎上した。アラブの独裁者たちは、イラクの混迷を引き合いに出して、“仮に最悪の独裁者であっても、体制を倒せばどうなるか”と民衆を諭すようになった。・・・・・」

 そして、今、例えば、シリアでは、アサド大統領は、
「自らは民意を以って動いている。
反政府勢力とこれに加担している外国勢力こそ、シリアの民意の敵である。」
といった主旨の発言を今でも繰り返し行なっています。
 そして、こうしたことを見るにつけても、今、アラブ地域はもとより世界の多くのところでは、民主主義は真に定着をしているのであるのか、疑問に思うことすらあります。
 局所的に見れば、アラブの春の結果、民主主義から遠のくエジプトなどを横目に見ながら、カダフィー大佐などが保有していた武器が流れ、テロの手に渡り、アフリカの混乱はむしろ進展している、こうした結果として、
「エジプトにおける2回目の反乱リスクの高まりとアラブの春の再燃」
に対する不安や懸念が高まっているとの声も出てきています。
 人々は何の為に血を流し、如何なる民主主義を望んでいるのでありましょうか?
 民主主義の根幹を揺るがすように動きが今後更に出てくるかもしれません。

 こうした一方で、そもそも「民主主義」そのものがまだまだ根付いていない国として私たちが留意しておかなければならない国は、
「中華人民共和国」
ではないでしょうか?
 そして、その中国本土に於いては、様々な統制の中で、最近になり、概念的には「中国共産党」の軍隊である人民解放軍の発言力が増し、
「文民統制」
が弱体化してきているとの見方も出てきています。
 更にまた、中国本土のネット社会では例えば、反日の意識の高まりを反映しつつ、日中開戦といった言葉も目に触れるようになっており、私の中国人の友人や国際社会の友人たちを通した情報によると、中国本土国内では、知識層や指導層よりも庶民層のほうにむしろ、反日の意識が拡大し、
「日中開戦やむなし。」
との認識を持つ人々が増えてきている模様でもあるのです。
 こうした状況下、中国本土の前瞻網が実施したネット世論調査では、
「中国本土のネットユーザーの70%弱は日本に負けるはずがないと回答した。
 あるネットユーザーは、中国本土は日本にとって最大の貿易相手国、輸出先であり、経済制裁をすれば日本が折れることは間違いないと断言した。」
といった報道も行なっています。
 中国本土の庶民層のこうした意識には大いに留意しなければならず、
「中国本土の世論が反日、そして日中開戦」
といった方向で動き、そのような、
「民意」
によって本当に日中開戦となった場合には、それは、中国人にとって本当に、
「民意に基づいた大義のある戦争」
ということになるのでありましょうか?

 冒頭にも述べましたが、最近は本当に民主主義とは何か、民意とは何か、そして、
「平凡な一般庶民の幸せは何であり、その為の政治の役割は何か?」
といったことを強く感じています。
 私達は、もちろん、目先の経済状況を意識し、経済的発展、繁栄に向けて努力をしなければなりませんが、しかし、今一度、冷静になり、
「何を目的とした経済的発展なのか?
 その為に何を優先すべきなのか?」
といったことを、
「真の民主主義」
の中で考えなければいけないところまできていると私は思います。
 国際情勢、そして東アジア情勢、風雲、急を告げるようなことが無いこと望みます。

 次回号も引き続き宜しくお願い申し上げます。


 
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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