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2014年1月[Sanada発 現場から]


[2014年の経済見通し]

 皆様方もそうでしょうが、私も年初には必ず、
「今年の日本経済は、そして世界経済はどうなるか?」
と言うことを考えるようにしています。
  そして、私にとって、2014年のキーワードは、
「混沌(Chaos=分からない、先が読みにくい)から混乱(Disorder=無秩序になっていく)へと世界が移行していくのか否か?」
ということになります。
  もし、混沌が深まり、混乱となると、その先、悪化をすれば、
「無政府状態(=Anarchy)」
となってしまいます。
  軍事的には、そうならずとも、
「経済的な混乱が進むと、やはり経済的な無政府状態に陥る危険性」
も否定は出来ません。

 そうした意味で、2014年を見る上では、様々なチェックポイントがありましょうが、私が政治・外交・経済・軍事、そして地域を意識して、2014年を見るポイントとしている点には、

  1. 米国の混乱はどうなるのか?そして、基軸通貨・米ドルは力強さを持ちつつ維持されるのか否か?軍需産業筋と国際金融筋の動きは平穏か活動拡大か?
  2. 欧州財政問題は真に解決されるのか?ドイツの立ち位置はどうなるのか?英国の復権の可能性は?フランスのアフリカ・中東に対するコミットメント力は保たれるのか?
  3. 日本のアベノミクスは「資産バブル」の域を超えて、日本経済を本格的な経済回復に導くのか?東アジアの和平と、日米、日露対話はどう推移するのか?
  4. 言葉では否定しつつも、実際には拡大している中国本土の覇権はどう推移するのか?そして経済成長の牽引力は何処まで維持できるか?一方で、中国本土国内は真に安寧なのか?人民解放軍の影響力や如何?
  5. ロシアのプーチン政権は安泰か?軍部の動き、そして軍需産業の影響力や如何?
  6. 東南アジア、南アジアの潜在的な経済成長力と混乱の可能性や如何?インド、ベトナム、ミャンマーの動きと米中露の駆け引きや如何。更には英国やフランスといった旧宗主国の東南アジアや南アジアに対する影響力をどのように分析するか?
  7. 日本から見ると、一歩離れた存在に見えるものの、食糧、原材料、エネルギー問題では無視できぬ太平洋・オセアニア各国とカナダの動きをどう捉えるのか?
  8. シリア、イラン、サウジアラビアに代表される中東勢力と東南アジアの連携の可能性、或いはロシアや中国本土のアプローチが世界情勢に如何なる影響を与えるのか?
  9. 北アフリカを基軸に拡大するアフリカ全土の混乱と人権問題、そして食糧、原材料、エネルギー問題を如何に捉えるのか?そしてこの地域にじわじわと参入する中国本土、中華経済圏の影響力を如何に捉えるのか?
  10. 米国の近く、中南米に不穏は拡大しないのか?内面の充実を、負債を拡大しながら進める大国・ブラジルに不安はないのか?メキシコは北米のサポーター的存在を続けるのか?
といった点を挙げています。

 そして、こうした点を意識しながら、世界的に権威のある国際機関として、しっかりとしたデータに基づきながら、定量分析をした結果として発表されている、
「経済協力開発機構(OECD)の経済見通し」
を眺めてみると、OECDは、
「2014年の世界経済は、その成長率が3.6%になる。」
との見通しを示し、昨年5月時点に示した見通しである4.0%を下方修正しています。
OECDは、新興国市場の景気減速が世界的な景気回復の足かせとなっていると指摘(私のチェックポイントで言えば、“主として”、4,5,6,10辺りのポイント)、また、先進諸国についても長年の債務危機後、回復に苦闘している(私のチェックポイントで言えば、“主として”、1,2,3辺りのポイント)との見方を示しています。
そして、特にOECDは、
「新興国経済に対する不安」
を指摘、そうした結果として、
「世界的に見て、貿易と投資が鈍化していく可能性がある。」
とも指摘しています。
また、OECDは具体的なコメントの中で、
「米国の連邦準備理事会(FRB)の量的緩和縮小を巡る観測から資本の流出に見舞われた多くの主要新興国の景気減速を、先進国が補うことは不可能である。
即ち、米国経済は成長しているものの、財政政策が伴わなければならない。
改善を示しているユーロ圏もプラス成長に回復しつつあるが、そのペースは非常に弱い。
日本も成長率が加速しているが、問題はそれが持続可能かどうかである。」
と厳しい指摘を示し、上述した私のチェックポイントが一般的、相対的には、厳しく推移することを予測しているように思われます。
  そして、私自身は、こうした動きの中で、
「世界経済システムの基軸の一つとなっている米ドル基軸が弱まる可能性」
を未だに否定し切れておらず、確率は低いとは思いつつも、万一、これが顕在化すると、
「世界経済は混乱に陥る。」
との見方も否めないと考えています。
  但し、私自身は、逆に、
「米ドルの基軸性が再び強まれば、資産バブルが背景とは言いながらも、世界経済は再び発展していくという可能性も否定していない。」
と考えていることもここに付記しておきたいと思います。

いずれにしても、OECDはその見通しとして、更に詳細には、
「2014年の米国内総生産(GDP)伸び率は2.9%と予想し、5月時点の2.8%から上方修正する。
来年に経済活動が活発化することから、FRBは量的緩和を縮小すべきである。
一方、米国が連邦債務上限に達した場合、世界経済の回復にとって大きな脅威となる。(私の言葉で言うところの世界経済のシステムが崩れていくリスクに関する指摘)」

「2014年のユーロ圏の域内総生産(GDP)伸び率は1.0%と予想し、5月時点の1.1%から小幅に下方修正したものの、一応、プラス成長を見込んでいる。
2014年のドイツGDP伸び率は1.7%の見通し、同じくフランスのGDP伸び率は1.0%の見通しである。
ユーロ圏外では2014年の英GDP伸び率見通しを大幅に上方修正し、昨年5月時点の1.5%から2.4%に引き上げるが、失業率が7%まで低下すると見込まれる2015年終盤にはイングランド銀行が利上げを開始すると予想され、こうした見通しを考慮すると、イギリスの労働・生産市場の緩みは縮小し、金融政策スタンスは2015年第4・四半期に正常化し始める。」

「2014年の日本のGDP伸び率は1.5%になる見通しとし、5月時点の1.4%から上方修正したが、2013年の見通し1.8%からは鈍化が見込まれている。」

「2014年の中国本土のGDP伸び率は8.2%と予想したが、7.7%の伸びを見込んでいる2013年からは加速する。」
といった総括をしています。

そして、これらを踏まえて、私自身の結論としては、
「2014年は混沌が深まる年である。
  世界は、慎重に熟慮をした上で、大胆なる行動を協調して取り、この不透明な状態からいち早く脱する必要がある年となる。」
と総括しておきたいと思います。

 また、こうした状況下で、我が国日本は、

  1. 世界が必要なものやサービスを量と価格を安定させながら、国内はもとより世界全体に提供する世界の実体経済を支える、真の尊敬される大国を目指す。
  2. 日本に居ながらにして雇用を残しながら、外貨を稼ぐ企業、組織を第一次産業から第三次産業まで各分野で育成していく。
  3. 金融緩和による、そして資産バブルによる見せかけの経済成長とはなるべく早くに決別し、実体経済の成長に基づいた経済システムに戻す努力をする。
  4. 「規模の経済性」を問うビジネスに敢えて挑戦、少量でもよいから多品種、高品質、そして大切なことは適切なる利潤を取り得るビジネスを大切にし、これを育成していく。
  5. その為にも、むしろマニュアル化出来ない技術を大切にし、マニュアル化出来ないものをマニュアル化しようとする努力を継続していくという姿勢を貫く。
  6. イギリス連邦を背景とする英国との同盟を復活、新・日英同盟締結に向けて天皇家にも活躍をして戴きながら、日本の国際社会での基盤を支えていく体制を整える。
  7. 更に、見た目には小国ながらも、経済力があり、技術があり、情報戦も含めれば軍事力も備えているスイス、イスラエル、シンガポールと緩やかな連携関係を確立する。
  8. 人々が生きていく為に必要なもの、即ち、水、食糧、原材料、エネルギー資源の、少なくともコア商品に関しては、“実需原則”のシステムを確立して、国際取引が出来るような体制整備を、国際社会に対して強く働きかけていく。
  9. 上述した努力を通して、日本は実体経済の影のスタンダード(ものづくりの基本、メンテナンスの基本等)を担当する国家として、国際社会での地位を尊敬されながら保てるように努力する。
  10. 最終的には、「日本の優しさ」という精神文化を世界に輸出できるように不断の努力をしていく。
ことこそが、2014年に強化していくべきことではないかと私は考えています。

 尚、OECDが示した、GDP成長率予想は以下の通りであります。
出所:OECD 単位:年率%

 
2013年
2014年
世界全体
2.9
3.6
 先進国
1.2
2.0
   米国
1.6
2.6
   ユーロ圏
-0.4
1.0
   ドイツ
0.5
1.4
   日本
2.0
1.2
 新興国
4.5
5.1
   中国本土
7.6
7.3
   インド
3.8
5.1
   ブラジル
2.5
2.5
   アセアン
5.0
5.4

 但し、アセアンはタイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナムの五カ国

 次回号も引き続き宜しくお願い申し上げます。


 
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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