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2014年5月[Sanada発 現場から]


[価値創造と規模の経済性に対する挑戦]

価値創造に対する思い
 私は、日本をはじめとする先進地域に見られる、
「価値の多様化」
といった状況が顕著なこの時代に於いては、新たな価値を創造して、それを更に確実に儲かるビジネスにしていくということ実践することは必ずしも容易ではないと考えています。
 世の中に、
「皆が持っていない共通の“もの”、皆がなかなか受けられない共通の“サービス”」
が明らかに存在しており、その、
「皆が持っていないもの、受けられないサービスの提供に焦点を絞り、これを、量と価格を安定させて、着実に提供できるようする。」
といったことが出来れば、
「皆が持っていないものやサービスを提供できるという価値」
を背景に、
「大量生産・大量販売型のマス・ビジネス」
によって、そのビジネスから大きなビジネス・メリットを享受することが出来ましょう。
 しかし、現在、特に先進地域に於いては、その経済的発展を背景に、
「多くの必要な“もの”や提供を受けたい“サービス”は基本的には満たされている。」
と言え、
「人々皆が真に必要としているものやサービス」
を見極めることは難しく、また、見極めたとしても、
「その需要の量そのものが限定的である。」
「その需要の必要とする期間が限定的である(ビジネスを仕掛けるサイドからすると、当該商品やサービスのマーケット・ライフ・サイクルが短い可能性があるということ)」
「その需要そのものが、生きていく為に絶対に必要なものやサービスから進化しており、社会情勢・経済情勢の悪化段階では、そうした需要が真っ先にカットされる可能性も否定できない。」
といったことから、
「新たな価値の創造」
を意識しても、その、
「価値」
そのものが何であるかをビジネスの利益の視点から見極めることが容易ではないと考えられるのであります。
 しかし、そうした点があることを踏まえて、
「価値の創造」
といったものを考えていくと、次のようなことになるのではないでしょうか。
 そこで、今一度、価値創造を理解するために、まずは「価値」について確認しておきます。
 そもそも、経済的、否、ビジネスの視点から考えた、価値とは何か?
 私は、上述したように、価値観の多様化の中、ものやサービスの価値を体系的に、或いは絶対的に評価していくことは簡単ではないと考えています。
 ビジネスの世界でいえば、価値とは、お客様の欲求にあり、その要求が多様化している、変化しやすいというのが先進地域での現状でありましょう。
 また、創造とは、今まで存在しなかった新たなものやサービスを創るということになりましょう。
 ビジネスの世界で言う「価値の創造」とは、従って、
「皆が持っていない共通の“もの”、皆がなかなか受けられない共通の“サービス”をはじめとする皆が要求しているものやサービスを新たに作り、量と価格を安定させながら提供していくこと。」
と言えましょう。
 そこで、価値の創造を考えると、既にあるものやサービスの効果を高める、消費者にとってのメリットを増やす、或いは既存のものやサービスの使い方や使う時期の変換に伴う新たな価値創造と言う手もありましょう。
 或いは、既にあるものやサービスの価値のもっと幅広く正確に伝えていくこと、ものやサービスを違う対象者に示していくことも新たな価値の創造になるかもしれません。
 しかし、私はそうした価値の創造はマイナーな創造であって、根源的な価値の創造は、
「先進地域であれ何処であり、人々が生きていく為に必要なものやサービスを、量と価格を安定的に提供していくこと。」
こそが、
「真の価値の創造」
であると認識しており、ビジネスの世界では、その開発とビジネス化に成功した者は、価値の創造者として、良い立ち位置で存続が出来るのではないかと考えています。
 今、正に、そうした活動を展開しています。
 是非、皆様方もそうした視点からもビジネスを見直してみてください。

規模の経済性に対する挑戦
 私は、上述したような真の価値創造を意識した場合、先進国の多くの企業、特に大企業ではない企業がすべきことは、これまでの常識を覆す、
「規模の経済」に対する挑戦!!
ではないかと考えています。
 先進国の一つにある日本には、127百万人の、
「質のいい労働者と質のいい消費者」
が依然として存在していますが、如何せん、
「国内にインフラが整っていることから、インフラ需要は、リハビリ案件が中心で、決して強くない。
 耐久消費財も一通り、庶民に行き渡っており、こちらの需要もさほど強くない。」
といった状況下にあって、
「内需が限定的である。」
と言う根本的な課題が存在していると考えています。
 こうした状況にあっては、
「大量生産、大量販売型の、所謂、マス・ビジネスを志向するビジネス・プレーヤー」
にとっては、日本の、
「市場としての魅力」
は、残念ながら、薄れつつあります。
 しかし、
「例え少量でも良いから(勿論、出来る限り、大量であることに越したことはない。)、多品種、高品質、高利潤」
のビジネスを追い求める、企業としての生き方は、あり得る!との認識の下、
「必ずしも量は追いかけない!!(もちろん、規模の経済性も求められるのであれば、求める!!)」
と言う意味での、
「規模の経済に対する挑戦」
を展開しています。
 そもそも「規模の経済」とは、
「生産量の増加に伴い利益率が高まること。
 成熟市場では、選択と集中に基づく効率的な投資が競争戦略上重要となる。
 そして、規模の経済とは、生産量の増大につれて平均費用が減少する結果、利益率が高まる傾向である。」
とも言われています。
 その「規模の経済」は資本に依存しているとも考えられており、
「費用を資本、労働、原材料に分け、生産規模とこれらの要素との関係に着目して、規模の経済を分析することも出来る。」
とも言われています。
 一般に、原材料については、平均費用が一定となるため、生産規模にかかわらず収穫・費用のいずれも不変です。
 労働力についても、規模の経済が成立します。
 そして、ある製品について規模の経済が成立するか否かは、資本に依存することになります。
 更に、市場が成熟した場合は、早期に資本を償却し、新規分野に投資を集中すること、即ち、選択と集中が、戦略上重要になるとも言われているのであります。
 しかし、ここでは、敢えて、
「高度技術を背景とした高品質を前提にビジネスを選択し、多角化する中に比較競争優位を見い出し、その過程で高利潤を確保、生き残りをかけることこそが日本企業、就中、“必ずしも大量生産・大量販売型のマス・ビジネス”ではないところで、生き延びようとする、否、大企業とは異なり、規模の経済性を追い求めなくても生き延びていける可能性が高い、日本の多くの中小企業の生きる道ではないかと私は考えています。

 そうした視点からも、日本の多くの中堅・中小企業は、
「真の価値の創造なども意識しつつ、規模の経済性に対する挑戦を続けるべきである。」
と私は考えています。
 皆様方は、どのように思われますか?

 次回号も引き続き宜しくお願い申し上げます。


 
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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