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2014年6月[Sanada発 現場から]


[米国経済と米中関係]

 日本にとって同盟国・米国の動向は大きな影響力があると言えましょう。
 その米国、
「強いアメリカの復活」
が成されるのか、国際社会との協調に向かうのか、米国自身の動向を注目されます。
 今回は、その米国を支える経済の現状と米中関係を眺めてみたいと思います。

[米国景気]
 私は、世界経済は、
「回復への期待感」
が持たれているものの、依然として、
「不安要因を拭えず、閉塞感が残存している。」
と見ています。
 潜在的なインフラ開発の需要も弱く、潜在的な消費意欲も弱い、日米欧を中心とする先進地域では、
「世界経済を牽引する力に欠け、その結果として、新興国、就中、中国本土、或いはインドなどへの依存をまだまだ続けなくてはならない。」
といった雰囲気が強く、こうした点からすると、
「国際金融筋の中国本土経済へのアタックは、その可能性はあっても具現化はしない。」
とも言えましょう。
 中国本土の国際社会に於けるプレゼンスの高さ、そして昨今の国際社会での、
「中国本土スタンダード」
を前面に押し出した様々な振る舞いは、中国本土国内の社会不安、不満を国外に向けて回避するという背景と共に、こうしたことが一つの背景にあると言えるかもしれません。
 しかし、もし、先進地域の経済が堅調に戻れば、中国本土に対する、国際金融筋のアタックの可能性は高まるのではないかと私は考えています。
 しかし、そこで日欧の経済を見ると、
「財政問題を抱える中、必ずしも、力強い改善トレンドに入ったとは言えぬ状況にある。」
と言えます。
 そして、経済成長、そして牽引車としての期待感は、
「米国」
に向けられますが、その米国経済は如何でありましょうか?
 相対比較に於いては、日欧よりは実体経済の裏づけもあって堅調とも言えますが、米国庶民にも、力強さは感じられていないように思われます。
 一方、直近のデータを基にして、国際金融市場では、しばしば米国経済の堅調さをマーケットに示しています。
 こうした中、ミシガン大学の調査を基にした米国の5月の消費者態度指数速報値を見ると、その指数は81.8となり、前月から2.3ポイント低下したと報告されています。
 また、これは市場予測の平均であった84.5程度をも下回っています。
 そして、現在の景況感は前月から3.6ポイント低下した95.1となっており、今後の経済見通しは更に1.5ポイント低下の73.2となっています。
 こうした消費者の、景気に対する期待感の低下には、
「今後の物価上昇に対して、個人収入の上昇が追いついていかない。」
といった不安感があると見られており、マスコミ報道の米国経済は堅調といったムードを覆すようなデータもまだしばしば示されています。
 米国にとっても、日本にとっても、
「もっと頑張れ、米国経済!!」
でありましょうか。

[米中サイバー紛争について]
 先般、NHKのニュースを見ていましたら、
「WANTED(=指名手配)」
の写真を掲げながら、米国の司法長官が、
「中国本土の人民解放軍の兵士が不正に米国企業の通信にアクセスし、重要な情報を盗んだ。
 従って、こうした容疑がある兵士たちを指名手配する。」
と発表し、中国本土政府に対して、これら兵士の米国への引渡しを要求しているニュースが流れました。
 また、これに対して、中国本土政府がすぐに、
「こうした米国のコメントは、米国が作った捏造事件である。」
と強く否定と批判をしていることもニュースで示されていました。
 そして、このサイバー攻撃を巡る米中間の摩擦は更に激しさを増しているようで、米国司法当局が上述したとおり、中国本土・人民解放軍当局者5人を起訴した後に、中国本土側は米国の主要IT製品の締め出しなどで対抗するなど、米中間の争いは政治や外交の場のみならず、ビジネスの現場へも拡大しています。
 ところで、私が今回のニュースを聞いて、
「あれっ」
と感じたのは、私にとっては、米国政府は、常に、こうしたサイバー攻撃に対する不信感を中国本土に対して持っており、しばしばこの種の行動を示していたのに、
「何故、この時期に、何故、司法長官が敢えて“指名手配”という中国本土が明らかに反発を示すことが分かりきっていながら、こうした強い姿勢を中国本土政府に対して示したのか?」
という点でありました。
 そして、その理由として、筆者が強く感じていることは(私にとってはある程度の確信があるのですが、読者の皆様方にとっては、それは状況証拠でしかないと感じられるであろうことから、“感じている”という表現を致しました。)、
「最近の中国本土外交の動きの中で、中国本土・習国家主席が、ロシアの同意も取り付けつつ、
“米国を除いた形でのアジアの新体制の構築を図りたい!!”
との宣言をした。」
ことに対する米国の「強い対抗姿勢」の一つの現れであるということであります。
 強い米国の復活を目指す米国の国防省筋、国際金融筋の意向はありましょうが、必ずしもそうした動きが表面化していない現状にあって、中国本土がロシアと、「敵の敵は味方」的な連携を取りつつ、一国主義的(ユニラテラリズム)な動きをとる米国の覇権に対する対抗姿勢を強め、
「中国本土を中心とする大東亜共栄圏構築」
を急速に進めようとする中国本土を強く牽制する一つの手段として、
「サイバー攻撃問題を利用して、中国本土との鞘当をしている。」
と見ておくべきではないかと私は考えています。
 そして、日本の立ち位置は大変難しいものになってきていると思います。

 皆様方は、どのように思われますか?

 次回号も引き続き宜しくお願い申し上げます。


 
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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