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2014年12月[Sanada発 現場から]


[中小企業の発展と日本企業の国際展開]

[はじめに]
 私は中小企業の発展は日本経済の成長にとっては重要であり、また国内需要が限定的となる中、日本企業の国際展開もある意味では不可欠となると考えています。
 そこで、今回は中小企業の発展と日本企業の国際展開について、考えてみたいと思います。

[中小企業の発展]
 私は日本再生の為には、
「力のある中小企業」
の生き残りと再拡大が不可欠であると認識しています。
 私が申し上げます「力のある中小企業」をここで、改めて定義しますと、

  1. 単なる下請け企業ではなく、独自の能力を背景とした製品(但し、必ずしも完成品でなくてよい。)、ノウハウがあること。
  2. 単に規模の経済性だけを追いかけるのではなく、少量でもよいから(出来る限り大量を目指す)変量、多品種、高品質、高利潤を実現する可能性を有すること、そして、これを具現化しようとする意欲があること、或いは、これを既に具現化していること。
  3. 日本人、日本企業、そして日本しか出来ない技術やノウハウを持つこと。
  4. マニュアル化出来ない技術やノウハウを何かしら保有していること。
  5. 上述したことを背景に、日本に居ながらにして外貨を稼ぐ潜在性を有していること、それを具現化しようとする意欲のあること、或いはこれを既に具現化していること。
  6. 世界の中での自社の立ち位置を認識していること(世界全体が強く必要としているもの、サービスをわが社は提供しているか?世界の中で、わが社の競争相手はいるのか、いないのか、いるとすればどういった企業か?世界の中で誰がわが社を一番高く評価してくれているのか?をしっかりと認識していること)
  7. ビジネスの国際展開を行うための体制作りをしようとする意欲がある、そしてその準備に入っている、或いは、既にビジネスの国際化に向けて人材も含めて社内体制の整備を図っている。
といったことになります。
 約386万社あると言われている日本の企業の多くは、中小企業であり、その活性化が無ければ、
「日本に雇用機会の活性化も齎さない。」
「日本の税収拡大の可能性も弱めてしまう。」
はずです。
 そして、これらの中小企業が、規模の経済性を求める「大企業」の下請け型ビジネスに留まっている限り、この「規模の経済性」を求めるビジネス分野のビジネスが海外に向かっていく中で、コスト面を中心に、日本の中小企業に競争力は無い、或いは競争力は弱いと思われ、日本から離れていく、或いは統廃合されてしまうと思われます。
 従って、日本の中小企業は、ベンチャー型の中小企業も含めて、独自技術やノウハウを持ち、単に大企業に従属するような立ち位置からは脱しなければならないと思います。
 その為に必要なことは、
*事業の国際展開力を強めること。
*技術競争力を高めること。
*製品やサービスの飽くなき向上に注意を払うこと。
*そして、出来る限り、価格競争力を維持していくこと。但し、これは単に安価と言うことではなく、「品質対比価格」という視点から見て価格競争力を持つと言うことである。
といったことの合わせ技によって実現させていくことになりましょう。
 そして、先ずは、
「現在保有している技術やノウハウを以って新市場の開拓が出来る中小企業」
に活躍して戴き、多くの中小企業に勇気を持ち、明るい未来がイメージできるように頑張って戴きたい、そして、そうした中小企業を、
「日本株式会社」
的に、産官学金融が力を合わせて支援、プロデュースしていくことが、今の日本には不可欠なことであると私は確信しています。
 今日もそうした潜在力の高い中小企業と接し、更なる拡大に向けたお手伝いをさせて戴く予定となっています。
 皆で頑張りましょう、日本経済の再発展の為に!!

[日本企業の国際展開について]
 先日、私が尊敬するコンサルタントの先生から、私にとっては、久しぶりに、
「付加価値貿易統計」
のお話をお聞きしました。
 付加価値貿易とは、実際に付加価値をつけた国を背景として通常の貿易統計を見直していくものであり、具体的には、2013年1月に、中立公正なる国際機関として一応認識できる「経済協力開発機構」が、同じく、国際機関である「世界貿易機関」と連携して、国際産業関連表をもとに世界の主要57カ国について調査しており、そのデータが公表されています。
 そして、その中立公正と思われる公式統計によると、日本の最大の輸出相手は、通常の統計ではシェア約20%、第一位の中国本土ではなく、同シェア約15%第二位の米国となっています。
 言葉を変えて表現すれば、日本で付加価値を加えられたものの輸出の最終輸出先は、
「今も米国です。」
ということになります。
 ここから、私たちが意識するべきことは、
「最終消費者の第一位が米国であるということは、日本全体で考えるマーケティングの中心も、理屈で言えば米国となる。」
ということと、
「付加価値をつける場所の中心が、現状で言えば、中国本土になっている。」
ということであり、更に、意識すべきことは、
「最終消費地の第一位が米国でよいのか?」
ということと、日本として、ものやそれに付随するサービスの、
「付加価値をつける場所の中心が中国本土でよいのか?」
ということになりましょう。
 私の認識では、後者については、昨今の日中関係などが反映されてか?或いは最終消費地・米国との関係を意識しつつ経済発展が進み、付加価値をつける環境が整ってきたのか?
「タイ、そして更に、インドネシア」
へと、或いは、潜在的な魅力も加味しつつ、
「ベトナムやミャンマー」
へと、更には、
「メキシコ」
にも移ってきているように思います。
 前者については、まだその意識は相対的には薄いようですが、最近では、改めて、日本の高付加価値製品の最終消費地は、
「欧州もあるでしょう。」
という考え方が少しずつ出てきているように思います。
 また、以上のような企業の動きは、「規模の経済性」を追いがちな主として大企業の動きと見られますが、中小企業の中で付加価値が高いものやサービスを提供できる比較競争優位を持つ企業の中からは、日本でつけた付加価値の高いものやサービスをそのまま外国に直接、日本から売ると言った動きを見せ始めるところも出てきています。
 日本企業の国際展開は新たなるステージにきているように思います。

 日本の企業が内需、外需双方を意識し、更なる発展していくことがデフレ脱却、地方再生の遠くて近道であると私は確信しています。
 今後の中小企業の発展と日本企業の国際展開を更に注目、出来る限りのサポートをさせて戴ければと考えています。

 次回号も引き続き宜しくお願い申し上げます。


 
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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