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2015年2月[Sanada発 現場から]


[世界の現行の秩序は変化するか?!]

 年初からギリシャ動向を遠因としたユーロの揺らぎとこれを原因とする欧州財政問題の再燃、日本人も巻き込む形で拡大するイスラム国問題など、世界には大きなうねりが押し寄せているように感じます。
 そして、そうした中、現行の世界秩序の変化に対する様々な見方が出てきています。
 今回はそうした見方を少しだけ、ご紹介させてください。

[世界秩序複雑化に対する見方について]
 私がもう20年近くご指導を戴いている台湾の政治家でかつ、学者の方から戴いた中国語の資料の中に、
「世界秩序複雑化」
という題目の文章があり、これを拝読しました。
 第二次世界大戦後、戦勝国の中の英米を中心として構築されてきた、
「英語、米ドル、英米法、ISOなどに代表される英米系製造基準、米国会計基準」
といった経済秩序はもとより、
「パックスアメリカーナ」
の延長線上とも言える、
「現行の世界秩序」
が変化しようとしている、しかし、大きく揺り戻して、再び、現行の秩序に戻るかもしれないという、
「分からない。」
という、
「混沌の時代」
にあって、
「世界秩序が複雑化している。」
という認識を私も強く持っています。
 この台湾の先生が示された複雑化の背景のいくつかを列挙しますと、
1.ロシアのウクライナ侵攻とクリミア併合
2.イラクとシリアに見られる混乱の持続
3.中国本土の海洋覇権旧拡大
4.東南アジアを巡る水面下での米中対立
5.日中関係の複雑
などがあり、これを前提に、先ずは、
「米中が国際秩序の維持のために妥協、協力をしなければならない。」
と主張されています。
 その上でまた、事実上、対ロ金融制裁ともなっていると見られる、
「原油価格の急落に伴うロシア経済の悪化と、通貨・ルーブルの下落が引き金となり、プーチン・ロシアがこれに対する不満行動を示す可能性がある。」
とも指摘され、
「万一、ロシアが大きな動きに出れば、世界の秩序に大きな影響を与えることは必至である。」
と結論付けられています。
 そうした事態を回避するうえからも、米中の様々な意味での、
「協調」
は不可欠でありましょうし、この結果として見られるであろう、米中が世界をリードする、
「G−2体制」
が来るべき、世界の新たな秩序の根幹かもしれないと考え、またそれが世界の安定に繋がるものとも考えています。(但し、この場合、日本は国家の運営方針の調整を余儀なくされるとも思います。)
 そして、これが具現化されないとすると、こうした混乱に乗じて、
「アルカイダやイスラム国に見られる世界的な過激派の動きがさらに活発化する。」
とも私は考えています。
 ところで、私は、このような世界秩序複雑化の動きもイスラム過激派の動きも、
「その根底には、現行の秩序が強い者の論理によって構築、運営され、Power is everythingの概念で推進され過ぎていることがある。」
と認識しており、単に、
「ロシアがいけない。」
「シリアがおかしい。」
「イスラム国はけしからん。」
「表現の自由は守られるべきだ。」
といった議論をするのではなく、この根底にある、
「現行の世界秩序を混乱、そして崩壊に導くかも知れない根柢の課題を抜本的に解決すべきである。」
と考えており、これを防ぐ上からも、私のできる範囲で行動し始めています。
 いずれにしても、
「世界秩序は複雑化している。」
と認識をしておくべきではないかと思います。

[現行の秩序の変化に対する別の見方]
 次にカナダの友人のコメントを引用させて戴きます。
 私は、
「世界の混沌が深まる可能性」
を心底、危惧しています。
 追い込まれた人は理屈ではなく、その追い込まれた環境によって、私たちが想像しないことをすることもありましょう。
 だからこそ、
「力の論理によって、人々を追い込んではいけない。」
と考えています。
 最近発表されたように、
「1%の人が世界の48%の富を支配する。」
これでは残りの99%のうち、
「自らは奴隷か?」
と感じる者も出てくるでありましょうし、そうした社会を形作る、
「現行の世界秩序を、目には目を、歯には歯を、と力ずくで壊そうとする人」
も出てきてしまいます。
 そうした根源の一つにあるのが富の分配に影響を及ぼす、
「行き過ぎた信用創造に基づく、過剰資金が齎す、国際金融主導の力の論理による原始資本主義の台頭」
であり、過剰資金の回収を徐々に着実に、Slow and Steadyで行っていかなければならないと思います。
 而して現実は?
 米国の努力は始まるとしているとも見られますが、どうも現実はまだまだ厳しいかもしれません。
 友人のコメントを以下に引用させて戴きます。
 
「西では、実体経済を上回る金融市場主導による経済に調整の兆しが見え、東では、バブルがますます膨らむというバランスがしばらく続きそうです。

カナダでは、昨日カナダ中銀が今年夏場移行に利上げがあると予想される中、突如0.25%の利下げを行いました。
主な理由は、石油価格の下落。
カナダではアルバータ州など中西部で行われている石油エネルギー産業に多大な経済期待をしておりますが、石油価格の急激な下落でその先行きが不安視されています。
そのリスクに対する先手ということのようです。

中期間に渡る低金利でトロントなど大都市圏では住宅ブームが続いており無理なローンを組んで住宅を買っているために、家計債務が異常に高くなっています。
平均で可処分所得の160%超となっており、トロント都市圏では、住宅を所有している人は平均$400,000超の借金を抱えていると言われています。
カナダ中銀も、家計債務の高さを経済不安の主要な要因と考えており、再三無理な住宅購入はしないように警告を出してきました。
利下げによって住宅購入、借金の増大が一層加速する恐れがあるにもかかわらず今回あえて利下げに踏み切った背景には、石油価格下落による影響が相当深刻な影響がでると見ているのでしょう。

銀行エコノミストは、2つのシナリオを提示しています。
ひとつは、都市圏の住宅ブームの加速。特に、石油エネルギー産業の影響を受けないオンタリオ州(トロント地区)では、加速することは間違いないといわれています。

もうひとつは、石油エネルギー産業に多くを依存するアルバータ州など中西部での経済の大沈下。
その結果、失業増、住宅価格の下落と売却。

西と東で、これまでとは逆転した経済状況が生まれそうです。」

先進国の悩みはまだまだ続きそうです。
先進国の中の更に既得権益者が先ずは我慢し、一旦、緊縮経済の中での生活様式に戻す気概が必要なのではないかと思いますが、現実はーーー
しかし、その結果はーーー
このままでは、やはり世界の混沌は深まりそうな気がします。
私達は今、私欲・我欲を捨てて、秩序の安定に向けて行動を起こさなくてはならないときに立っているのではないでしょうか。

 引き続き宜しくお願い申し上げます。


 
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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