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2015年4月[Sanada発 現場から]


[米国の政治動向と金融政策の動き]

 私は、
「現行の世界秩序」
が変化する兆しが今の世界には見られてきていると考えています。
 そして、そうした秩序崩壊を導くかもしれない要因としては、
*大国間の覇権争いの激化に伴う秩序の変化の可能性
*スコットランド問題などにも見られたような、一部の既存の国家の中に、その国家としての枠組みそのものが変わる可能性が出ており、その変化に伴う全体秩序の変化の可能性
*過激派の動きに見られる「とにかく現行の秩序を破壊したい。」とする強烈な過激派勢力の動きに伴う変化の可能性
を強く意識しています。
 また視点を変えてコメントすると、私は、
「パックスブリタニカに続いて第二次世界大戦の秩序の源となったパックスアメリカーナに基づく秩序の崩壊」
をも意識しており、特に第二次世界大戦後に、1944年7月の開催された「ブレトンウッズ会議」での議論を基にして構築されてきた、
*第二次世界大戦後の為替に関するルール作りとその管理・監督を行う機関としての国際通貨基金(IMF)
*第二次世界大戦後の復興とその後の開発に関するルール作りとその管理・監督を行う機関としての国際復興開発銀行(IBRD)を軸とした世界銀行グループ
*第二次世界大戦後の貿易と投資に関するルール作りとその管理・監督を行う機関としての世界貿易機関(WTO=但し、当初はGATT)
による世界経済のシステムに支えられた秩序が今、崩壊していく可能性もあると考えています。
 そして、そうしたことを強く感じさせる昨今の動きとして、中国本土が主導する、
「アジアインフラ投資銀行(AIIB)設立の動き」
などが挙げられましょう。

 さて、このような現行の世界秩序崩壊の可能性も見られる中、既存の世界リーダーとしての米国はどのように動いてくるのか、今回は、先ずは政治面での動きを共和党の大統領選挙に向けた動きから、次に国際金融情勢にも大きく関係する金融政策面から捉えてみたいと思います。

[2016年の米国大統領選挙に関する共和党の動きについて]
 私は、現在の米国はオバマ政権の影響力から国際金融筋、国防相筋の影響を強く受け始めていると見ています。
 そして、世界に於ける「米国の覇権」再強化に向けた動きを後押しするこれら勢力が、その意向に最も相応しい次期大統領を誰に定めていくことが良いのかをも検討し始めていると見ています。
 現与党の民主党では「ヒラリー・クリントン氏」が優勢と見られていますが、これを受けて立つ共和党は今も候補者が乱立しているようであります。
 ここで、ロイターが見ている共和党の有力候補者を引用させて戴き、そのうちの何人かを眺めてみると以下のようになります。
「引用開始
1.ランド・ポール氏(51歳)
ケンタッキー州選出上院議員。出馬の可能性を示している。父のロン・ポール氏は共和党の大統領予備選に何度か出馬した。伝統的に共和党の支持基盤でない若年層や少数派などにもアピールしている。
2.ポール・ライアン下院議員(44歳)
2012年には共和党の副大統領候補だった。米金融業界からの支持が厚い。1999年から下院議員で、多くの政治評論家からは、同氏の野心は下院で存在感を高めることとの指摘がある。中間選挙では共和党の応援活動を行ったが、大統領選について具体的なことは言っていない。
3.ジェブ・ブッシュ氏(61歳)
元フロリダ州知事で、父は第41代米大統領のジョージ・ブッシュ氏、兄は第43代米大統領のジョージ・W・ブッシュ氏。移民や教育に関する政策で穏健的姿勢を示しており、共和党保守派からはさほど支持されていない。
4.テッド・クルーズ氏(43歳)
テキサス州選出の上院議員。ティーパーティーの支持を集めている。2013年10月には、オバマ大統領が実施を目指す医療保険改革法関連の予算が含まれている暫定予算案の成立を阻止しようと上院議場で長時間演説を行い注目を集めた。
引用終わり」

 そして、米国国内では、こうした候補者を含めて共和党の大統領候補者選びは既にかなり活発になっています。
 このような動きを見て、国際社会でも、
「第二次世界大戦後の世界秩序の大きな軸となってきた米国を中心とする世界体制の維持を期待する国」
では、共和党であれ、民主党であれ、とにかく、
「強い米国」
を象徴するような、
「強いリーダーシップを持つ米国の大統領」
の登場を期待する声が強いと思います。
 そして、多分、日本も、また日本国民の多くも、中国本土を軸とする新たな世界秩序の動きも診られるのではないかとの不安の下、米国の復権を大いに期待しているのではないかと思います。
 こうした中、米国・共和党の候補者選びの活動では、米国経済が一定の安定を示していることをも背景にして、
「ISをはじめとする世界の過激派に対する米国の立ち位置」
に焦点を当て議論することが目立ってきています。
「強い米国、強い米国大統領」
を示すには格好のテーマであることから当然の動きであるとも思います。
 ただ、私は一点だけ、これら共和党の大統領候補者たちが、
「米国が、米国人がISに殺される前に、ISのリーダーを殺さなければならない。」
という主旨の発言を、文字通り、
「KILL!!」
という単語を使いながら、国民に、支持者たちに極めて強烈に訴えている姿を見て、
「頼もしさ」
を感じる半面、
「一抹の恐ろしさ、或いは品格は?」
といった疑問も、正直を言って感じてしまっています。
 力には力でしか対抗できないのでありましょうか?
 世界は更に難しい状況に差し掛かっているのではないかと思います。

[米国の金融引き締め姿勢について]
 米国の金融政策面に目を向けて見ましょう。
 私は、しばしばこのレポート手申し上げていますが、
「世界は米国を中心とする、行き過ぎた広義の信用創造によって供給された大量の資金が実体経済規模を大きく上回り、そうして発生した余剰資金が投機性の資金となり、これが、株や不動産はもとより、最近では原材料や食糧、エネルギーなどの市場にも投機を目的として出入りをして、世界経済の混沌の源の一つとなっている。
 更にまた、これが格差問題の根源の一つの原因ともなっている。」
と考えています。
 こうした一方でまた、
「潜在的なインフラ開発需要が強く、潜在的な消費需要の強い、新興国が世界的に注目されている。」
とも考えています。
 こうした中、国際金融の基軸となっている国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は、
「米国の連邦準備制度理事会(FRB)の事実上のゼロ金利政策解除が近づいており、新興国は市場の急変動に備えて全速力で準備を進める必要がある。」
との主旨のコメントをしました。
 ラガルド専務理事は、
「米国は今年後半には利上げして、金融政策の正常化を始める最初の国になるであろう。
 非伝統的金融政策は大恐慌回避に必要である。」
と大変興味深いコメントをしました。
 上述した通り、行き過ぎた広義の信用創造によって膨らんだ国際金融市場の本格的調整が、新興国を軸とする国々のリセッションと言う、「痛み」を伴う可能性も含めながら、進められようとしていることは、極めて正常であると私は考えています。
 そしてまた、こうした中で、必要以上に影響力を拡大している中国本土をはじめとする新興国経済への牽制も強化されてくるのではないだろうかと考えています。
 しかし、これに対して、中国本土を含めた米国以外の国々が米国とは逆に金融緩和を更に進めようとしており、その影響は注視する必要があると思います。
 いずれにしても、世界経済は、一つの転換点に差し掛かっているものと見ておきたいと思います。

 今後も世界の現行の基軸にある米国の動向には様々な意味で注意を払っていきたいと思います。

 引き続き宜しくお願い申し上げます。


 
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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