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2015年8月[Sanada発 現場から]


[ビジネスの幅]

[はじめに]
 140年もの歴史を持つ日本を代表する名門企業である東芝の状況を皆様方は如何にご覧になっていらっしゃいますか。
 今や、国際社会では、国際的な視点から見た、
「ビジネス倫理」
を強く要求し、その結果として、
Governance統治
Transparency透明性
Disclosure公開
Compliance法令遵守
などを企業経営に要請しています。
 即ち、経営者の倫理観の高さに基づく企業経営といったものが、私たちが想像している以上に強く要求されているのが今のビジネス世界であると私は考えています。
 こうした中で、あまり知られてはいないかもしれませんが、しかし、私にとっては、
「常に真理を求めて生きた、倫理観の高い経営者の一人である。」
と認識している川喜田半泥子氏について、今日はお話をしたいと思います。

[川喜田半泥子氏とは]
 ご縁があって、三重・百五銀行の頭取も務めたことがある、
「川喜田半泥子」
の活動について詳しく触れることが出来ました。
 1878年、伊勢の豪商の家に生まれた川喜田氏は、陶芸家、実業家、政治家として活躍した人で、
「東の魯山人、西の半泥子」
「昭和の(本阿弥)光悦」
などと呼ばれた人です。
 私は、米国のキッシンジャー氏が好きで、
「ある時は政治家、ある時は実業家、そしてある時は大学の先生」
として活躍する同氏を尊敬していますが、川喜田氏は、そのキッシンジャー氏に、
「勝るとも劣らない」
本質的には凄い人であると私は認識しています。
 お金持ちの家に生まれたが故に、幼少のころから文化に直接触れることが出来た川喜田氏は、厳しい祖母上の下で育ったようです。
 それは、祖父、父が生後間もなく他界し、18歳の若さで未亡人となった母を不憫と思った祖母が母を実家に戻したことに背景があるようです。
 名門、豪商の家にあって、川喜田氏が贅沢、我儘になることを恐れた祖母は、川喜田氏を厳しく育てたそうで、その名言の中に、
「吾を褒める者は悪と思え、
吾をそしる者は善と思え。」
といったものがあり、川喜田氏もこの祖母の教えを大切にして一生を過ごしたと言われています。
 また、
「質素、倹約、始末」
を大切にして生き、実業界にあっては、安全第一をモットーに健全経営をする一方、地元銀行を買収・合併し、津に新本店を建設すると共に、1931年の金融恐慌時には、自らが持つ個人株を担保に日銀から現金を借り入れ、窓口に積み上げて預金者を安心させ、取り付け騒ぎを乗り切ったと言う話は有名で、文字通り、
「親分肌の責任を取るリーダー」
であると私は考えています。
「慎重に考え、大胆に行動する。」
という経営者としての大切な資質を発揮したとも言えましょう。
 また、津の市会議員、三重県の県会議員なども務めたようですが、こうした実業界での活躍とは別に、芸術にも高い関心を寄せ、後年は陶芸の道に深く入り込むと共に、学生時代に師事した藤島武二氏の影響もあり、絵はとても上手で、川喜田氏は、自らが米国や欧州に旅行した際には、半紙に絵日記のような旅行記を描き記しており、それが今も残っています。
 また、川喜田氏が心酔した陶芸に於いては、
「泥多仏大=泥多ければ仏大なり」
を意識、これを川喜田氏は、
「煩悩多ければ悟りも大きい。」
と解釈し、芸に励んだようです。
 そして、悟りを開くことを念頭に、座禅を大切にもしたようですが、ここでは、座禅をしている姿は蛙に似ているとしつつ、
「座禅をしていれば悟りが開けると言うのであれば、蛙はいつも座禅をしているが悟りを開いているだろうか。」
と説き、
「座禅をただしても、悟りは開けない。」
と理解し、
「真理」
を求めることに注力して、人生を全うしたそうです。
 真理を求めて生き抜き、天寿を全うする、範とすべき生き方であると感じました。
企業経営者の資質と言うものは何かを私たちは今一度、しっかりと考えていく必要があるのではないでしょうか。

 引き続き宜しくお願い申し上げます。


 
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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