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2015年9月[Sanada発 現場から]


[世界人口見通しと中国経済]

[はじめに]
 今回は世界の人口見通しに関する一つの見方をご紹介した上で、昨今の中国本土経済について簡単にコメントさせて戴きたいと思います。

[国連が見る世界人口見通し]
 私は、
「人口の多さは、潜在的な労働者の数を意味し、潜在的な消費者を意味する。
従って、人口が多いことは潜在的な経済成長力にも通じる。」
と考えています。
 そして、
「その潜在性が顕在化すると経済成長も顕在化してくる。」
と考えており、そうした意味で、
「中国本土は、その潜在性が顕在化してきており、今や世界経済の成長センターとして注目されるに至っている。」
とも考えています。
 こうした視点から見ても、
「世界の人口動向」
に対して私は高い関心を持っていますが、私自身はその力量から、
「人口動向に関する定量分析」
が出来ないという現状にあって、
「信頼できる機関のデータや予測を基にして、情勢分析や将来予測する。」
という作業を行っています。
 こうした中、信頼できるとされる国際機関である「国連」は、世界の人口動向に関する調査レポートを発表しました。
 これによると、世界全体の人口は2050年には約97億人に、更に2100年には約112億人にまで増えるとの予測を立てています。
 そして、世界最大の人口を持つ国は、今のままの「国家」の枠組みが維持されていくと言うことを仮定すると、現在、13億人を有に越える人口大国・中国本土を追い抜いて、インドが世界第一位の人口大国、即ち、
「世界ナンバーワンの潜在的な経済力持つ国」
として予測されています。
 即ち、このインドは2022年までに中国本土を抜いて人口が世界第1位になるとこのレポートは予測しています。(因みに、現在は約1億2700万人の人口を持つ世界第11位の日本は、2100年には人口が約8300万人に減少し、世界第30位になるという見通しも示されています。
 そして、現在の世界人口は73億5,000万人となっており、今後は、若者や子供が多いアフリカを中心に人口が世界的視点から見ると増加することが見込まれています。
 そして、この報告書では、
「現在は世界第7位のナイジェリアが、2050年頃までには米国を抜いて世界第3位の人口大国になる。
 現在世界第2位の人口大国であるインドは2100年には人口が16億人を超え、中国本土は約10億人まで減少する。」
とも推測されており、中国本土経済の影響力は人口減少を背景に、低下していく可能性もあるかもしれません。
 一方、世界全体では、現在の日本と同様、高齢化が進み、現在は12・3%の60歳以上の人口は2050年には21・5%、2100年には28・3%まで増えるとも報告されています。
 世界経済の動向を注視しながら、今後の経済成長センターを予測していきたいと思います。

[中国本土経済の見通し]
 さて、今現在では世界ナンバーワンの人口を誇る中国本土経済は今どのような状況となっているのでしょうか?

 私は自らの銀行マンとしての仕事の経験からして、
「中国本土は1994年から本格的な国際化を意識した経済改革に入った。」
と認識しています。
 ある程度の社会制度が整っており、かつ、国際化を進め始めた中国本土は、
「潜在的な労働者の数、潜在的な消費者の数が多く、従って、潜在的な経済成長率が高い国」
として注目されていましたが、その改革を始めた3年後の「アジア通貨危機=中国本土ではこれをしばしば亜細亜風暴と表現しています。」の様子を捉え、
「実体経済の国際化」
を推進、2001年にはWTOに加盟しましたが、
「金融経済の国際化」
には慎重で、未だに規制色の強い金融行政を続けています。
 私が認識しているところでは、中国本土の指導部の識者は、
「通貨は武器にもなり得る。」
と強く認識、
「人民元をぎりぎりまで保護すると共に、タイミングが来たところで“一気に”開放、国際化を図る。」
という考えで動いてきており、更に、最近では、アジアインフラ投資銀行やBRICS銀行などの動きにも合わせて、人民元の国際化に向けた動きを開始したかに思えました。
 また、この間、基軸通貨・米ドルの怖さを意識、先進国が続ける、
「行き過ぎた講義の信用創造に基づく景気刺激策」
を極力回避して、実体経済を拡大すべく、経済政策を推進してきた国が中国本土であると私は認識しています。
 しかし、ここに来て、外需部門の不振が中国本土の内需部門の景気にもブレーキを掛け、経済成長の鈍化が顕在化してきている中、さすがの中国本土政府も、

  1. 人民元の国際化を暫く放棄することになることもある程度は覚悟の上で、人民元の人為的な切り下げを実施し始めている。
  2. 金利も引き下げ、通貨供給量を増やして、景気を刺激し始めている。
と見られます。
  即ち、具体的には、
  1. 中央銀行である中国人民銀行は、外国為替レートの対米ドル基準値を切り下げる措置を取り始めている。外需の低迷が確認される中、輸出の低迷の遠因である為替レートに関して「人民元安」方向に誘導することで、国内の製造業などを支援し、景気を下支えする狙いがある。
  2. 金融緩和政策も本格化、利下げ傾向も顕著となっている。
といった状況にあります。
 こうした中国本土政府の動きに対して、基本的には、人民元の切り上げ圧力を加えてきた米国は状況を一応注視すると言っていますが、今後の中国本土政府の動きと国際金融市場の先行き次第では、米国政府・FRBが予定している、年内とされる利上げの時期にも影響が出るかもしれません。
 また、円安に続いて人民元安は韓国経済にも悪影響を与える可能性があり、中国本土経済依存度を高めてきている東南アジア経済も中国本土経済の鈍化による悪影響を受ける可能性もあると見ておきたいと思います。
 ここに来ての中国本土の経済政策方向の変化は様々な影響を与える可能性があり、注視したいと思います。

 引き続き宜しくお願い申し上げます。


 
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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