SAITAMAビジネスライン 埼玉産業人クラブ
埼玉ちゃれんじ企業経営者表彰
ホーム    サイトマップ    当クラブについて   
現在位置:ホーム >Sanada発 現場から サイト内検索
 

2015年10月[Sanada発 現場から]


[変化する国際情勢]

[はじめに]
 今回は、米国と欧州について、それぞれコメントさせて戴きたいと思います。
 私は、
「量より質のビジネス」
を意識した際には、しっかりとした契約さえ締結すれば、
「欧米企業は日本企業の良さ、強さを適正に判断し、それに対して、厳しくも適正なる価格を提示してくる。」
と見ています。
 もちろん、欧米が手ごわい交渉相手であることは当然ではありますが、無理難題は言ってこないということで、中国ビジネスよりも信頼感が持てると考えています。
 従って、規模の経済性を求めて大量生産・大量販売型のビジネスをしなくてはならないような企業ではなく、少量・変量、多品種、高品質を背景に、高利潤を求めようとする企業、就中、中小企業にとっては、交渉力さえつけば、欧米企業とも十分に良好なビジネスが維持できると考えています。
 そうした意味で欧米の状況は認識しておく必要があると考えており、今日は、以下の二点を取り上げたいと思います。

[ユーロの現状]
 私は、戦争が絶えなかった欧州が、食糧の安定確保に一定の成功を見る中、20世紀になると、人間としての崇高なる倫理観に基づいて、
「大欧州の統一」
に向かって動き始め、欧州石炭連盟、欧州鉄鋼連盟、欧州経済共同体(EEC)、そして欧州連合(EU)といったプラットホームを作りながら、その具現化に向けて努力、こうした結果として、
「通貨の統一から、経済の統一、そして、最終的には政治を統一して大欧州の統一を達成する!!」
という目標を作り、その路線に乗って、
「共通通貨・ユーロがスタートした。」
と認識しています。
 そのユーロですが、一般的には次のように理解されています。
 即ち、
「ユーロはヨーロッパでは25カ国で使用されており、このうち19カ国がEU加盟国である。
 1999年1月1日に決済用仮想通貨として先ず導入される。
 2002年1月1日に初めて現金通貨としてのユーロが発足する。
 この時、導入国の従来の通貨に代わり、ユーロが正式に法定通貨となる。
 ユーロ硬貨はユーロ圏18カ国のほかに、合意によって認められている3カ国がそれぞれ鋳造しており、裏面は各国で独自のデザインを採用している。
 ユーロ紙幣のデザインは統一されているが、紙幣に印刷されている番号の先頭の文字によって、その紙幣の印刷された国が判別されるようになっている。
 ユーロは、国際金融市場においては現在、準備通貨として世界的にもしっかりと認識されており、米ドルの次に重要な通貨の地位を有している。
 しかし、2010年欧州財政危機以降、通貨連盟の矛盾が表面化し、その存続を危ぶむ意見も出ているのが現状である。」
というものであり、実際に、例えば、
「イギリスやチェコではユーロに加盟していなくてむしろ良かった。」
などと言う声まで最近では聞かれ、特にイギリスでは、ユーロはもとより、
「EUからも脱退したほうが良い。」
との声すら出ています。
 果たして「大欧州の統一」は具現化されるのか、今しばらく注視、フォローしていきたいと思います。
 尚、留意しておきたい点は、ユーロ導入の要件であり、それは以下の通りであります。
 即ち、1992年に署名された欧州連合条約では、加盟国は経済通貨統合の第3段階への移行、つまりユーロの導入に当たっては「収斂基準」を満たさなければならないとし、その収斂基準は「物価の安定性・高過ぎない長期金利・財政赤字および政府債務の健全性・為替の安定性」の4つとなっています。
 特に、ユーロ導入国に対して、通常の経済情勢では財政の均衡を維持することを義務づけており、他方で景気が悪化している情勢では、経済の安定化のために単年度国内総生産 (GDP)の3%を上限として国債の発行を認めている(原則として3%は超えられない)、また、累積債務残高については60%を上限としているという点です。
 ユーロの動きは皆様方の欧州ビジネスに甚大なる影響を与えることは間違いなく、大いに留意しておきたいと思います。

[企業経営に関連する日米協調について]
 現在の日本政府のスタンスを見ると、
「間違いなく、これまでどおり、或いは、これまで以上に米国との関係を重要視する姿勢を取っている。」
と思われます。
 そして、米国も日本企業との関係強化には一定の関心を持っていると思います。
 こうした中、日本の中小、中堅企業と米国の関係を考えていくと私は次のような関係を模索していくことも可能ではないかと考えます。

  1. 高度技術を保有する中小企業が米国に進出、米国もこうした日本の中小企業を発掘して米国に誘致し、米国企業のサポーティング・インダストリーズとして育成する。
  2. 量産試作用の製造装置を生産できる中小企業が米国に進出、米国もこうした中小企業を発掘して米国の産業基盤の更なる充実を図る。
  3. 日本国内には、商品化出来ていないものの、潜在的な可能性もある、所謂、Seedsがたくさん存在している。
    こうしたSeedsの発掘のために、米国は日本にベンチャーキャピタリストを派遣、日本の中小企業もこれに呼応して自社の強みをアピールし、Seedsの商品化を米国市場を念頭に置きながら具現化する。
  4. 宇宙・航空産業とその延長線上の軍事産業、医療・介護分野の日本企業との連携強化を図る。
といったことを推進する、そして、こうして米国に進出した日本の中小企業に対しては、米国政府に対してきちんと依頼をした上で、
「日本に向けた果実送金・配当送金に関連した規制を無しとすると共に、税制メリットを付与する。」
といったビジネス環境の整備を図りながら、結果として、
「日米の根本的な関係を強化していく。」
ことが重要であり、こうして、
「日米がWin-Winの関係を構築していく。」
ことを目指すべきではないかと私は考えています。
 更には、日米関係の再強化を図りつつ、日本としては、それによって、
「米国の威信再強化」
を具現化のお手伝いもしていくべきではないかと考えています。

 引き続き宜しくお願い申し上げます。


 
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
コンテンツ

例会・講演会

各部会紹介

リンク


SANADA発現場から

お問い合わせ

当クラブ(地図)へのお問い合わせ、入会希望など、お気軽にお問い合わせください。

tel0438-872-2281 fax048-872-2285

Eメール
clubsaitama@sangyojin.org

お問い合わせフォーム

ホーム当クラブについて埼玉ちゃれんじ企業者表彰例会・講演会情報ファイルお問い合わせサイトマップ
NITEC埼玉産学交流会TDU産学交流会埼玉ビジネス研究会経営研究部会企業PR部会人材開発部会産友会分科会
Copyright (C) 2004 SAITAMA SANGYOJIN CLUB All rights reserved