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2015年11月[Sanada発 現場から]


[教養と信頼]

[はじめに]
 今月は皆様方のお仕事には直接、お役には立たないことを申し上げます。
 しかし、
「教養」
と、
「信頼」
はビジネスを展開していく上で、とても大切なことではないかと私は考えており、この点に関する私の見方をお読み戴きたく、以下のような原稿を書いてみました。
 ご一読願えれば幸いです。

[教養とは]
 私たちが人間として生きていく上で、私は、
「教養」
と言うものが、私たちの一つの支えになっているのではないかと考えています。
 そして、私が育ってきた小学校から高等学校までの学校の性格が教育大学系であったことなどもあり、私は常に、
「教養とは何か?」
を問われてきていたように思います。
 また、大学では建学の祖である福澤諭吉先生の思いを基とした、
「教養とは何か?」
を意識しつつ、体育会野球部での四年間を過ごしてきました。
 そうした後、社会に出て、暫くは国内、国際金融社会での仕事をして参りましたが、再び、大学の教員となった後は、改めて、
「教養とは何か?」
を意識して生きています。
 私の一つの持論は、
「教養とは、先ずは、人が人として生きていく為に必要な知識や常識、そしてそれら支える崇高なる倫理観から成るものである。」
というものであります。
 そして、そこには、常に、
「真理や宇宙の法理に基づいたものを追求することから得られる知識や常識であり、倫理観である。」
という前提があります。
 従って、
「国や民族、文化や歴史、言語などの違いを超えて認められる知識や常識、倫理観でなくてはならない。」
という原則もあります。
 実際に、辞書などを見てみると、教養とは、
「一般に、独立した人間が持っているべきと考えられる一定レベルの様々な分野にわたる知識や常識と、古典文学や芸術など質の高い文化に対する幅広い造詣が、品位や人格および、物事に対する理解力や創造力に結びついている状態を指す。」
といった定義が為されています。
 或いは、「教養」に相当するギリシャ語は “パイデイア”という言葉であり、その意味は、
「子供が教育係に指導されて身についたもの」
のことであるとも説明され、また英語のCultureは、もともとは、「粗野な状態から耕された、人の手を経たもの」などとも説明されており、
「野蛮人」
は否定され易い存在となるのであります。
 そして、私は上述したように、国や人種などによって、
「教養の捉え方に対する文化的な温度差がある。」
ことは否定する立場にあります。
 一方、日本に於いては、
「教養がない。」
という否定的な表現をされると、
「常識のない人間」
「品位や人格に問題のある人間」
ということを意味することも多いですが、私の定義からすると、
「人間として自力で生きていくに足る知識、常識、倫理観に不足がある人」
ということになります。
 そして、もっと言えば、
「自然摂理の中にあって、生きたいと言う欲望を上手にコントロールしながら、知の研鑽を図りつつ、人格と精神を磨き、一人で自力的発展が出来る人間としての力」
こそが教養であり、
「知の研鑽をし、人格と精神、そして身体そのものを磨くこと。」
が修養であるとも考えています。
 私はよく子供の頃に、
「お前は人間としての修養が足りない。」
と家族に厳しく叱られましたし、その私が後進に人間修養を教えるのは恥ずかしいことでもありますが、大学の教員という仕事を通して、これからも、教え子たちには、
「人間修養」
を教え、教養を高めていってもらいたいと考えています。
 読者の皆様方も是非、一度、立ち止まり、
「教養とは何か?」
を考えて戴ければ幸いです。

[信頼される人間とは]
 かつて、私がお仕えした東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)の上司の方は、
「銀行と言うところは、お金と言う信用の最も象徴的なものを主として取り扱う組織であるからこそ、そこで働く者は、人々から信頼される人間でなければならない。」
と仰っていました。
 そして、
「正にその通りである。」
と、今は私の、銀行員時代よりも更に強く感じています。
しかし、最近、銀行員以外の方に伺うと、銀行員はもとより、
 「世の中に真に信頼できる人間が減った。
 逆にうわべだけの仲良し的信頼関係が拡大している。」
との声を、心ある方々から多々お聞きします。
 それでは、
「真に信頼される人間」
とはいったいどう言う人なのでしょうか?
 この定義は難しいです。
 しかし、私なりのその見方を示すとすれば、以下のようになります。

  1. 己に自信無くして人から信頼されない。
  2. 自らの意見を論理的に語る。断定することを恐れない。
  3. 人と分け隔てなく付き合う姿勢を持つ。
  4. 常に真剣、熱心に物事に取り組む姿勢を持つ。
  5. 頭脳と言う頭を使うとともに頭を下げると言う頭の使い方もスマートに出来る。
  6. 熱情的に、しかし、冷静に行動できる。
  7. 人のためになることに喜びを感じられる、或いは、私欲を捨てているにも拘らず、他人から見れば、人のためになっていると自己満足していることに、とにかく喜びを感じられるようになる。見返りは求めない。
  8. 私欲を捨てて客観的となることに対する勇気が持てる。
  9. 人の、身体はもとより、心も傷つけない。
  10. 人を愛し、尊敬する心を持つ。
といったような人が尊敬出来る人であり、更に、
「知力、気力、体力」
が充実していることが先ずは信頼される人の絶対条件であるとも考えています。
 私もそうなるように努力し、また、そうした後進を育て、日本の、世界の更なる発展に役立ちたいと考えています。

 引き続き宜しくお願い申し上げます。


 
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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