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2015年12月[Sanada発 現場から]


[中国経済を如何に見るか?]

[はじめに]
 日本経済にとって、そして、世界経済にとっても、中国本土経済の動向は様々な意味で気に掛かるところかと思います。
 こうした中、今月は、私の、中国本土経済に対する、少し「へそ曲がり」的な見方をご紹介申し上げます。
 一つの味方と言う意味でご覧ください。

[中国本土経済見通しと日本]
中国本土経済の成長鈍化は、
「世界経済の成長鈍化を齎す。」
といった形で受け止められており、これを逆手にとって、中国本土は、世界に対して、
「中国本土経済の順調な成長を出来る限りサポートせよ。」
との脅迫めいた動きを示しているとも思われます。
 そして、表面的な動きを見れば、最近、
「イギリスはもとより、フランスやドイツも中国本土に擦り寄り、共に経済成長を実現させていこうと言わんばかりの対中政策姿勢を示している。」
とも見られます。
 こうした中、中国本土の執権政党である「中国共産党」が発表した、2016年から始まる「第13次5カ年計画」に於いては、
「中国本土の経済成長率目標を現在の年平均7%から6.5%へと引き下げる。」
との考え方を打ち出しました。
 これに対しては、例えば、日本国内の専門家からも、
「日本の輸出が鈍化する。」
などといった懸念の声が既に出ています。
 そして、その中国本土経済の成長を取り込めるようにとでも見られるかのように、
「大量生産大量販売型のマスビジネスのモデルに嵌っている日本の大企業経営者は中国本土を訪問し、中国本土側に媚を売りにきたのではないか。」
と中国本土側の一部から馬鹿にされるような行動を示しました。
 もちろん、日中関係が真に改善し、日中が対等なる関係の下、競争と協調ができるようになることを私も期待していますが、昨今の、
「言った者勝ち、やった者勝ち的動きを示す中国本土」
にそうしたことを期待できるのか、正直を申し上げて、私は疑問と不安を感じてしまいます。
 だからこそ、ここでは思い切って、考え方を切り替え、輸出の更なる多角化をここではしっかりと果たすべきであり、大量生産大量販売型ビジネス群は中国本土からインドやメキシコなどの新興国を目指したビシネス展開を模索、一方、少量・変量、多品種、高品質型のビジネス群は量は追わず、高利益率を求めて、スイス、ドイツ、イタリア、フランス、米国などの欧米やイスラエル、シンガポールといった国を求めて動くべきであると私は考えています。
 あまりにも、中国本土を頼りにし過ぎると、中国本土に足元を見られる、日本はそうした事態を絶対に回避しなくてはならないのであります。
 知恵と決断力で日本という国の行く末をしっかりと模索すべき時なのではないでしょうか。

[もう一つの中国本土経済に対する見方]
 私が尊敬し、ご指導を戴いている、そして経済産業省が中小企業300社にも選定されている企業経営者の方から、上述したような私の見方に対して、
「私もあまりにも中国頼りに傾きすぎていると思います。
 どうしても目の前の利益に走りがちですが、もっと鳥の目を持つべきだと思います。
 世界がものすごい速さで変化していっています。
 必ず隙間は出てくるものと思います。
 中小企業もチヤンスがたくさん出来ると思います。」
とのコメントを戴きました。
 大量生産大量販売のビジネスモデルに頼らなくても良い中小企業には中国本土を頼りしなくとも生き抜ける「場」があるのではないでしょうか。
 さて、その中国本土経済、私は、
「一義的には、人民元高を背景として、そして世界的に見ると、米国が資金バブルの国際金融情勢を修正するような動きを示す中、輸出競争力を落とし、世界の需要も相対的には減少し、中国本土の外需部門にダメージを与えた。
 この結果、国内では雇用情勢も悪化し、国内消費にも影を落とし、外需のみならず、内需も縮小、中国本土経済は一気に縮小近郊へと転換してしまった。
 こうした情勢を受けて、中国本土政府は新常態と言ったわけの分からぬ概念を打ち出し、内外の懸念を打ち消そうとしているが、今年に入ってからの実体経済の如実な落ち込みが顕在化し、中国本土政府は今、インフラ開発バブルを引き起こし、実体経済の落ち込みをインフラ開発バブルでカバーしようとしている。
 即ち、米国などの先進国とは異なり、中国本土では国内にはまだまだインフラ開発需要も強く、消費財に対する需要も強い。
 従って、先進国のように、消費者に借金をさせて消費を意識的に作っていくといったバブル造成の必要はなく、インフラ開発を前倒しにするという形でのバブル造成に入った。
 ここで、中国本土政府・国家統計局の統計を見ると、例えば本年7〜9月期の実質国内総生産(GDP)が前年同期に比べて6.9%増加したと発表しているが、業種別の成長率も併せて公表しており、その詳細を眺めると実体経済を支える主要業種が4〜8%の低調を記録した、
 金融業だけが16.1%成長し、インフラ開発バブルを支える形で、政府が目標とする7%維持(保七)をしようとしているが、中国本土の実体経済はかなり深刻な状態にあり、いよいよ中国本土も先進国同様、金融バブルではない、インフラ開発バブルという形で、バブル経済を拡大する可能性が出てきた。
 これでは、習国家主席が繰り返し提唱してきた国有企業改革、中国本土から欧州までをインフラでつなぐ一帯一路(新シルクロード)構想、都市化を通じた新たな内需創出もバブル染めにされ、その後の世界経済は更なる混沌に巻き込む可能性がある。
事態は深刻である。」
と考えています。
 そして、実際にインフラ開発バブルを直接、間接的に支えてきた国有・国営企業の経営にも不安が出始めており、国有・国営企業を含む社債などの潜在的なデフォルト(債務不履行)の可能性が高まっていると言う見方も出てきました。
 そして、インフラ関連企業では、例えば、山東省の企業で、香港市場にも上場する中国山水セメントは、期限を迎えた20億人民元の債務返済が不確実となり、四川省に拠点を置く石炭生産の恒鼎実業(ヒデリィ・インダストリー)も1億9,060万米ドルの社債の元本と金利の支払いが期日通り履行できなくなり、事実上のデフォルト状態となっています。
 中国本土経済に対しては、慎重にチェックしていく必要があり、また、だからこそ、
「中国本土経済に頼りすぎてはいけない。」
と外交・軍事面のみならず、否、むしろ、経済・ビジネス面から見て、より一層、感じる次第であります。
 もっと知恵を出し、規模の経済性に頼らず、質の経済を問う産業構造に日本の産業界をシフトしていくべきではないでしょうか。
 そして、そうしたビジネスの主役は、しっかりとした内実を持っていることを前提に、私は中堅・中小企業であるとも考えています。

 如何でしょうか?
 様々な見方があるかと思いますが、ご参考になれば、幸いです。

 引き続き宜しくお願い申し上げます。


 
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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