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2016年2月[Sanada発 現場から]


[日本のあり方]

 私は己をわきまえているつもりです。
 従って、今の生活に対して、小さな不満はもちろんありますが、
「これでいい。これで幸せである。」
と感じつつ、いつもお天道様に感謝しています。
 しかし、この地球上に存在する人間として、
「本当にこのままで良いのか?」
と言う根源的な問題意識はあり、私は先ずは日本人でありますから、日本人としての人間として、今の世の中に、改善すべきことはないかとふと考えてしまいます。
 今日はそのような思いを形にしてみました。

基本姿勢
1.我々は常に真理を求めなければならない。
 我々は地球上の生物として自然の摂理の中で生きているが、自然の摂理の根底の一つに、生きながらえたいとする「欲」から生じる、
「弱肉強食」 がある。
 しかし、この弱肉強食と言う摂理はややもすると強者の論理を生み、真理をも侵す要因となる。 人間は、欲から生じる弱肉強食の誘惑に勝つために、真理を求めなければならないのである!!

人間としてのあり方
2.真理を求める為には、我を、そして、私欲を捨てなければならない。
 その為の心の支えとして、
「自らが自らを強いと思う者は他者に優しくならなければならない。
一方、自らが自らを弱いと思う者は他者を頼らず自らの力で生き抜く心意気を持たなければならない。」
と言う意識を常に持ち、遮二無二生き抜くのである。
3.そうした中、リーダーとなる者は、慎重に、論理的に、鳥瞰図的に、複眼的に現状を見つめ、そして現状を認識しなければならない。その上で、その現状認識によって導きたされた課題を克服する為の戦略を立て、どの課題をどのような順番で如何なる戦略をいつ実行するかを決断する勇気を持たなくてはならない。しかし、決断するだけではいけない。その決断したことを、魚が水の流れを読みながら生きるように、時と場を図りながら、一気に、果敢に行動に移さなくてはならない。そして、こうした分析、決断、行動の全てに対して、「責任を取る=腹を切る覚悟=」を持たねばならない。
 こうした素養と意識、そして意思のない者はリーダーとなるべからず。
4.真理、私欲を求める為には、決して他者を肉体的に傷つけてはならない。
 即ち、暴力は如何なる要因があろうとも否定すべきであり、特に強者が強者の論理を以て、他者を肉体的に傷つけることは絶対に許されない。
 そして、可能な限り、他者の心も傷つけてはならない。しかし、これは難しい。何故ならば、人の心の傷は見えず、また、何を以て、他者の心が傷つけられたかを判断することは難しいからである。
 この辺が自然の摂理の中で生きる人間の限界であろうか?

現実の生き方に関する基本姿勢

 基本姿勢と人間としてのあり方は、「理想論」である。しかし、人は理想を高く掲げない限り、その極みを知り、そこに到達することは叶わない。
 従って、理想を求めて生き抜くしかない。
 しかし、我々には厳しい現実がある。そこで、
5.理想と現実の折り合いをつけなければならない。
 現状に対して、理想との格差はどの程度あるのかを先ずは知らなくてはならない。その上で、当面、どこまで理想に近づけられるか、その目標を設定していかなければならない。
その目標を達成する為の詳細なる具体的戦略を立てなければならない。これを実行する。
そして、その成果、効果を見極め、成果が上がれば、更なる理想へ、成果が上がらなければ、戦略の見直しを図り、しつこく、しつこく、しつこく理想に向けて挑戦をし続けなければならない。

日本が求めるべき理想の姿
 我々日本人、一人一人が人 、人としてすべきことの理想は上記に掲げた通りである。
 それでは、そうした日本人一人一人の行動と努力を2016年現在の現状と折り合いをつけながら、如何にして具現化していくのか、その未来像を語りたい。
 少しずつ変化、敢えて厳しく表現すれば、悪化しているとはいえ、日本人には、そして日本には、総じて、
☆他者を思う優しい心がある。
☆その他者を思う優しい心が気配りを生み、人々が使いやすいものやサービス、人々が安心出来るものやサービスを提供すると言う心に繋がっている
☆こうした結果、日本には、世界が必要とするものやサービスを量と価格を安定させながら供給していくと言う土壌がある。
☆幸いなことに、こうした特性を民族全体として持ち合わせているところはない。そして、日本人は、これを、「おもてなし」の心、「三方良し」の精神などと自らも認識し、これに誇りをも持っている。
と言える。
従って、こうした現状、特性を意識し、2015年の日本が求めるべき理想の姿は、次のようになろう。

「世界がもの凄く強く必要としているものやサービスの中で、日本人しか、日本企業しか、日本しか出来ないようなものやサービスに出来る限り絞り込み、それを正当に評価してくれる相手に対して、量と価格を安定させながら供給していく。
 その結果として、日本は世界に必要とされ、きちんと尊敬までされなくとも一定の評価を受けながら、存在していく国民、企業、国家となることを目指す。
 尚、この際に、意識的には、質を重視し、量を第二順位とすることを前提とする。」

 具体的には、第一次産業も含めたものづくり、きめ細かい心配りのある第三次産業を意識しつつ、
6.可能な限り、大量生産大量販売型の「規模の経済性」を追うビジネスを目指すものの、敢えて、量には拘らず、先ずは量よりも質に拘るビジネスを展開する。
7.上述したことが可能な分野は、核心部品、高度の量産試作も含めた製造装置、高度素材、安心安全の飲食料にあり、更にグローバルメンテナンスの分野に日本の活路はある。
8.こうしたものやサービスのビジネスを展開するに際して、日本は、「マニュアル化出来ないものづくりやサービスの提供をむしろ大切にしつつ、しかし、それらに対してマニュアル化していく努力を加えながら、「産業」としてきちんと定着させていく。マニュアル化出来ない技術を持つことが日本の特性であるとともに、そのマニュアル化出来ない技術をマニュアル化しようと努力する民族であることが日本の最大の特徴であり、これを最大限生かして、国際社会から一目置かれる国家となるべきである。
9.このようにすれば、日本人しか、日本企業しか、日本しか出来ない技術をベースとしたものやサービスの提供と言うことになり、それを提供する場は日本になるはずである。結果として、日本に居ながらにして外貨を稼ぐ人、企業が日本を支え、ここに、日本国内にも雇用が残り、そして稼ぎ、稼いだ上で適正な税金も払い、その税金で日本国内を更に住み良い世界に高度化し、その余剰資金がもし、生まれれば、さらにそれを海外の社会安定の為の基金として供出して行けば、日本は一層世界から尊敬される、少なくとも評価をされる国となろう。
10.これらの根幹となるのは、人材育成であり、以上の方針に合わせて、教育制度の抜本的改革を図る。

 そして、これらは、決して目立たず、粛々清々と行い(即ち、覇権争いを決してしない!!)、謙虚な中で日本の良さを世界に浸透させていくことがポイントとなります。
 その具体策としては、
1.新・日英同盟の締結。これにより、表の秩序の管理人は、歴史と経験、ノウハウを持ち、日本が敵にしては決していけない国である英国に任せ、日本は実体経済で、汗を流して世界にお役に立つ立場を貫く。
2.見た目は小国ながらも技術力と資金力を持ち、また、情報戦も含めた軍事力では世界有数の国々である、スイス、イスラエル、シンガポールと緩やかな連携を取り、ディールバイディール、ケースバイケースでこれら3カ国のいずれか、或いは全てと連携をする。
3.米国や中国本土、或いはロシアと言った、所謂大国とは決して戦わない。しかし、一定の距離を保ちつつ、日本のアイデンティティを守る。

目指すべき国家像

「仙(専)人国家を目指せ!!」
「必ずしも規模の経済性だけを追うな!!」

 世界に貢献するための高い専門性を持ったほんもののプロ=一騎当千の職業人=が結集する企業が各種分野で多くの存在する国家となり、世界から「世界に対して幸せを供給する対価」を得て、発展する日本を目指せ!!
 日本が守るべきは技術力に支えられた「少量(可能な限り大量)、変量・多品種・高品質・高利潤」の中堅・中小企業であり、これら企業が日本全国各地・一次産業も含めた様々な業種にパッチワークのように存在する国家を目指していくべきである。
 そして、これら企業に外貨を獲得してもらい、日本に不足する食糧やエネルギー資源、原材料を輸入する体制を確保していくべきである。
 大量生産・大量販売型のいわゆるマス・ビジネスを志向する大企業は生産最適地・ビジネス最適地を求めて世界各地にビジネス展開する無国籍企業化をしていく、従って、中堅・中小企業は日本Originのそうした無国籍企業も含めて、自社の製品を最も正当に評価してくれる企業に販売していくことを志向し、高利潤を確保していく努力をしていくべきである。
 そして、こうした戦略を具現化していくための人材育成を国家レベルで推進していく、即ち、俗に言う「金太郎飴」型人材教育からの脱却を図らない限り、日本の将来は見つからない!!
「真のものづくり大国」の維持
「ものづくり奴隷大国」とならぬ為の、資源、エネルギー確保の必要性、川上から川下まで、一貫したものづくり大国を目指すべきである。
 その為にも、ひと、もの、金、情報の根幹を握る国際戦略を打ち立てる。

混沌の世界、日本の生きる道、そして戦略の一案
 世界は、

@ スコットランド情勢に見られた如く、既存の国家と言う枠組みを崩す可能性がある動き
A イスラム国やアルカイダの動きに見られるが如く、既存の世界経済の秩序そのものを根底から崩壊させようとする動き
B ウクライナ情勢を背景としたロシアの孤立、BRICS開発銀行設立構想を背景とした中国本土やロシアを軸とした新興国の新興国による新興国の為の開発機関が設立され、その中で中国本土と人民元の影響力が新興国を中心に拡大し、既存の国連主義や世界銀行グループを中核とした世界全体の開発を促進すると言う枠組みを根底から崩す可能性がある動き

を主たる背景にして混沌が更に続く可能性があると私は考えている。
 更に、昨今では、日本ですら見られるように、
「格差の拡大などを背景として、現行の民主主義そのものに対する不満を示す先進国の若者を中心とする不満」
も出てきているように思われ、この対応を世界全体が間違えると、世界が大混乱に陥る可能性の「種」を私は感じている。
 そして、世界経済にも不安要素が残っている。
 即ち、米国の金融当局は量的緩和を終了し、正常な通貨政策を取り戻しはじめたものの、副作用も懸念される。
 こうした一方で、欧州連合(EU)、日本、中国本土など経済面で見た主要国はまだ景気が本格回復せず、出口戦略を実施できない状況にある。
 こうしたアンバランスが存在し、不安要素が残っているのである。
 そして、こうした結果、日米欧に加えて中国本土を含めた世界経済の4極のうち、米国を除くEU、日本、中国本土はまだ金融危機当時の体制から脱する準備ができておらず、欧州中央銀行(ECB)は過去最低水準の金利で通貨供給を維持、日本は20年間続く長期不況から脱するため、金利を超低金利に抑えつつ、意図的に円安へと誘導、金融危機以前に2桁台の高い経済成長率を示していた中国本土も成長鈍化が見られる状況にある中、金利差は拡大し、金利裁定により米ドルが買われやすい状況を生み出している。
 2008年以降、4極経済は21兆米ドルの資金を各国、世界に供給し、景気浮揚に努めたが、資産バブルによって浮揚したかに見える米国を除く主要先進国は依然低迷から脱却できずにいる。
 米国とても、今後は再び成長鈍化するかもしれない。
 従って、ここで量的緩和を取りやめれば、急激な景気後退に襲われると世界全体が懸念しているが、
「量的緩和の継続は資産バブルを生むだけあり、むしろ格差拡大を生みかねない。
そして、量的緩和の継続は、実需を生み、実体経済を背景に本格的な景気回復を誘導したり、デフレ脱却を生み出すものでもない。」
ということを世界の善意ある人々は分かっている。
 それでも、「行き過ぎた」量的緩和を止められないほど、世界経済は今、苦しみ、混沌としている。
 だからこそ、日本は先進国の一つとして、既存の世界秩序を守ることに、日本なりに貢献しつつ、先ずは真の景気回復に向けて自力再生の道を進むべきであり、その為にも、
「三本目の矢である成長戦略の早期実施」
に向けて全力を傾けるべきではないかと思っている。

 ここで、少しだけ脇道に逸れる。
 以下は、成長戦略に繋がる、
「日本の生きる道」
について書いたものである。

「私見・日本の生きる道

 第二次世界大戦後の日本の経済発展、産業発展から見た、
「日本の生きる道」
を探っていく。
 第二次世界大戦後の日本の産業構造の発展を見てくると、部品や素材、そして製造装置を生産するSupporting Industries企業群に支えられ、それらの上に構築されたセットメーカー群が大量生産大量販売型のビジネスを展開して、セットメーカーはその生産品を当初は主として輸出しながら、外貨を稼ぎ、戦後日本の経済発展の基礎を支え、その後、日本の内需が徐々に拡大すると、生産品を内外共に販売して、世界のインフラ拡充と世界の耐久消費財の普及を支えつつ、日本の経済発展も支えて、世界的な企業へと大きく発展してきたと言えよう。
 そして、そこには、日本人の勤勉さ、単一民族であることのメリット、貯蓄率の高さ、そして第二次世界大戦前から持つ技術開発力などによる製品の品質向上と為替レートの低め安定などにも支えられた「安価でいいものを内外に安定的に供給する」という「世界の工場」的な役割を日本全体が果たしてきたという実績が加わり、フロントに立つ、これら日本の多くのセットメーカーと部材や製造装置を製造する、Supporting Industriesとしての中堅・中小企業が、一定の緊張感を持ちながら共存体制を構築してきたという課程も垣間見られる。
 そうした意味で、第二次世界大戦後の日本は正に、
「垂直統合型の発展」
を遂げてきたと言っても過言ではないであろう。
 しかし、こうしたビジネス・モデルも1985年のプラザ合意による意図的な円高誘導によって一気に変化、セットメーカーは大量生産大量販売体制を維持するために海外展開を推進、セットメーカー群を支えるSupporting Industriesの多くもこれに伴い、海外展開を余儀なくされた。
 また、円高の後、日本では、内需拡大が意識的に謳われ、旺盛な内需と勢いを残す外需に支えられ、一時期は、バブル経済とはいえ、
「日本の経済的繁栄が世界的にも注目された」
という時期を迎えた。
 しかし、1990年代に入り、その日本のバブル経済の崩壊が顕著となると、日本の国内では、明らかな、
「産業空洞化」
という現象が顕在化し、日本の国内には、
*債務
*設備
*人材・労働力
の「三つの過剰」状態が拡大、これを克服する上からも、セットメーカーは、インフラ開発需要が落ち、耐久消費財の普及の一段落した日本国内のビジネスが限定的であると判断して、海外展開を加速化させた。
 また、海外ビジネスに於いては、欧米先進国も日本と同様、インフラ開発需要も限定的であり、耐久消費財も行き渡っていることから、その拡大のターゲットは、自ずと、潜在的な消費者の数が多く、潜在的な労働者の数も多く、その上で比較的安定的な国であるところの、中国本土やインド、ブラジル、ロシアといったところに先ず向けられ、これらがBRIC'Sと総称されて、注目されたのである。
 その後は、これにインドネシアやメキシコ、トルコなどといった新興国も加わってきているが、いずれにしても、セットメーカーは、こうした大量生産大量販売型の規模の経済性を追及するビジネス・モデルをグローバルに展開することによって、自らも、 「コスト競争の激化の渦」 に飲み込まれていくこととなった。
 一部に、
「高度技術の擦り合わせによる国内復帰」
といった現象も見られているが、上述したように、日本国内の市場が限定的となる中で、世界的なコスト競争に敗れ、世界シェアを極端に落とした半導体やカーナビ、DVDなどをはじめとする様々な業界の経営は厳しさを増し、その結果として、これらの業界、セットメーカー企業群を支えてきたSupporting Industries企業群も、放置すれば、これらセットメーカーと共倒れをしてしまう危機に晒されているのが今の日本であろう。
 こうした流れを考えてくると、今の日本に必要なことは、
*グローバル企業としてのセットメーカーの世界シェア拡大戦略=一義的には先ずは力(=量)=で勝負
*量は二の次とし、マニュアルか出来ない技術を背景とし、先ずは高品質・高利潤企業を具現化出来るSupporting Industries企業としての中堅・中小企業の世界販売戦略=日本に居ながらにして、即ち、雇用機会を日本に残して、外貨を稼ぐ企業の育成= といったことを目標にして、国家としての、日本の産業戦略を抜本的に考えていくことにあろう。
 そしてまた、こうしたことが具現化出来れば、時代は、日本に向かって風が吹き始めると私は考えている。

  次に、もう一つ、現状の国際情勢を背景とした、
「日本の生きる道」
を考える。
 私は、
「先進国は経済的な成熟度が進んでいる中で、一般的には、総じて需要が弱い。」
と認識している。
 道路、電力、ガス、港湾といった様々な社会インフラが整い、高額なものも含めて耐久消費財も行き渡り、
「今すぐに必要なもの」
の需要が弱いことから、
「先進国は需要が低い。
 結果として、安定成長と言う名の低成長に陥り易い。」
と考えられ、これらの対策として、先進国は、
「新規の需要をまじめに発掘する。」
という努力をしてきたが、
「米国がまず、人々に借金をさせてでもものを買わせると言う需要を創出、これが行き過ぎた信用創造へと発展し、サブプライム・ローンからリーマン・ショック、そして遂には、こうした民間部門の経済での破綻を回復させるために、今度は国が多額の借金をするという異常事態にまで至り、世界は一部主要国の財政危機と言う大問題を抱える時代に突入した。」
とも言える。
 そして、国内での需要が弱い先進国はいくら景気対策を展開してもなかなかデフレから脱却できない、一方で新興国は需要そのものが潜在的に強い中、これが顕在化している中国本土などはインフレになり易いという二極化状態になっている。
 こうした中、先進国は、少ない国内需要をカバーする為に、自国外ビジネスを拡大しようとし、その為に、
「自国通貨安競争を拡大する、その為の方策として、資金を更に市場に過剰供給する、この結果、資金量が実体経済規模を異常に上回る事態となり、金融が実体を振り回す(これを国際金融市場では、犬が尾を振るのではなく、尾っぽが犬を振り回す事態と揶揄している。)、そしてお金のある人とない人の格差を広げて、弱肉強食型の原始資本主義がはびこるという更なる悪循環に突入している。」
と私は認識している。
 こうした中、少し冷静に、また倫理観を以って先進国経済を眺めてみるとき、
「成熟した先進国経済の中では、例え人口が多くても需要そのものが弱く、スケールメリットを取りに行く、大量生産、大量販売型のマス・ビジネスが衰退していくことはむしろ必然であろう。」
と私は考えている。
 従って、あくまでもこのマス・ビジネスに頼る企業は、市場を求めて、好むと好まざるとに拘わらず、国際市場に目を向けざるを得ないという状況に進むのである。
 しかし、冷静に考えてみると、価値観の大きな変化、多様化の中で、
「当然に、先進国にも潜在的需要」
が存在し、これを発掘しない手はない。
 即ち、
「消費者の多様化された様々な異なる欲求やニーズに応えること」
こそがその対応策であり、
「少量(もちろん、可能な限り大量を目指す)・変量、多品種、高品質のモノやサービスを、本当にそれを必要としている消費者に売っていけば、そこできちんとした価値観で評価され、高利益、否、少なくとも正当な利益が確保出来る。」
はずである。
 そして、こうしたビジネス展開が出来る企業は、
「質の高い中小企業そのものである!!」
と私は考えている。
 もちろん、その中小企業もただいいものを作ればいいと言うものではなく、消費者としっかりとアクセスし、質の改善を怠らないことは必須要件であるが、日本の中小企業にはこれが出来るであろう。
 こうしたことが具現化されれば、これからの先進国、就中、日本やドイツ、イタリアなどには、上手に企業が対応していけば、間違いなく、
「中小企業の時代が到来する!!」
と思う。
 更に、その為にIT市場を利用した製品開発と製品ニーズを地域で根付かせて、ローカル・マスのビジネスを展開していくことも重要であろう。
 そして、これこそが、ものづくりの展開に於いて常識とも言われてきた、
「規模の経済性を追求する。」
ということに対する一つの大きな挑戦!!もある。
先進国の一つである日本には、127百万人の、
「質のいい労働者と質のいい消費者」
が存在しているが、如何せん、
「国内にインフラが整っていることから、インフラ需要は、リハビリ案件が中心で、決して強くない、耐久消費財も一通り、庶民に行き渡っており、こちらの需要もさほど強くない。」
と言った状況下で、
「内需が限定的である。」
と言う根本的な課題が存在している。
こうした状況にあっては、
「大量生産、大量販売型の、所謂、規模の経済性を目指す、マス・ビジネスを志向するビジネスにとっては、日本の市場としての魅力は、薄れつつある。」
と言えよう。
しかし、
「例え少量でも良いから(勿論、出来る限り、大量であることに越したことはない。)・変量、多品種、高品質、高利潤」
のビジネスを追い求める、企業としての生き方は、あり得る!との認識の下、
「必ずしも量は追いかけない!」
と言う意味での、
「規模の経済性」
への挑戦を展開すべきであろう。
 そもそも「規模の経済性」とは、
「生産量の増加にともない利益率が高まること。
 成熟市場では、選択と集中に基づく効率的な投資が競争戦略上重要となる。
 そして、規模の経済とは、生産量の増大につれて平均費用が減少する結果、利益率が高まる傾向である。」
とも言われている。
 その「規模の経済性」は資本に依存しているとも考えられており、
「費用を資本、労働、原材料に分け、生産規模とこれらの要素との関係に着目して、規模の経済を分析することも出来る。」
とも言われている。
一般に、原材料については、平均費用が一定となるため、生産規模に拘わらず収穫・費用のいずれも不変である。
 労働力についても、規模の経済性が成立する。
 そのため、ある製品について規模の経済が成立するか否かは、資本に依存することになる。
 更に、市場が成熟した場合は、早期に資本を償却し、新規分野に投資を集中すること
、即ち、選択と集中が、戦略上重要になるとも言われているのである。
 しかし、ここでは、敢えて、
「高度技術を背景とした高品質を前提に選択をし、多角化する中に比較競争優位を見い出し、その過程で高利潤を確保、生き残りをかけることこそが日本企業、就中、"必ずしも大量生産・大量販売型のマス・ビジネス"ではないところで、生き延びようとする日本の多くの中堅、中小企業の、生きる道ではないかと私は考えている。
 そして、日本が特に強いと言われる、
「核心部品、高度素材、製造装置とメンテナンス・アフターケア」
の分野でこれらを着実に展開していけば、日本が世界に必要な国家として、尊敬されながら、生き残ることが出来ると私は確信している。 」


 私は上述したような認識を基にして、現行の日本の生きる道を考えており、その延長線上で成長戦略を考え、そして具体的な行動を実体経済の皆様方と共に行っている。
 そして、特に事業者数では全体の99%以上、雇用吸収率では約7割を占め、付加価値では同約5割を占める中堅・中小企業に効果が出る具体的なアイデアと行動を中心に活動をしてきているが、当然に大企業に対して何もしなくても良いとは思っていない。  一方で、大企業には独自で成長戦略を実施していく知恵も体力もあるわけであるから、私が、否、私だけではなく、日本政府や地方自治体もかえって"余計なこと"をしなくても良いとも言えよう。
 こうした中で、私は日本の大企業には、現在、
「グローバルな視点から規模の経済性を問うビジネス展開を、ある意味ではせざるを得ない状況にある。」
と考えている。
 そこで、日本の多くの大企業は、
「グローバル化を、好むと好まざるを得ず、推し進め、その結果として、"多国籍企業"から"無国籍企業"へと変身、文字通り、グローバル企業となるべく、グローバル市場での占有率確保に挑戦しなくてはならない。」
というポジションにあると言える。
 それを具現化するために必要な戦略の一つは、これら日本オリジンのグローバル大企業の、
「企業ブランドの国際的な浸透戦略」
であり、特に、今後、大きな需要、即ち、販売拡大が期待できる、潜在力の高い中国本土や東南アジア、南アジアや中南米、ロシアといった「新興国」でのブランド戦略は不可欠となっていると思う。
 そして、そうしたブランド戦略の一つの具体的な方法は、
「広告戦略」
であろう。
 しかし、私の見るところ、日本オリジンの大企業のグローバル企業としてのグローバル広告戦略は、相対比較に於いて、世界各国のグローバル企業に劣っているのではないかと感じている。
 例えば、目に付きやすいところで申し上げると、新興国に入るとすぐに目に付くのは韓国勢や台湾勢、そして最近では中国本土勢の広告であり、テレビコマーシャルもたくさん展開されているが、日本オリジンのグローバル企業の広告はそれに比して極めて貧弱なことを感じる。
 これは、ここ最近に始まったことではなく、実は私は1990年代からずっとこうしたことを感じてきていた。
 そして、こうした背景を日本企業の方にお聞きすると、
「日本企業が海外で、グローバル企業として海外でブランド戦略を展開しようとして、グローバル企業の本社のコストでその戦略を展開しようとすると、それはコストとしては扱われず、寄付金と看做される。
 結果として、本社の税法上の費用としての参入が出来ず、企業が他国オリジンのグローバル企業に比して高いコストで国際的なブランド戦略としての広告宣伝を打たざるを得ない状況となっている。
 ただでさえ、スリム経営が要求される今の日本オリジンのグローバル企業の経営環境では、こうした余分な体力を使うほどの余力が我々にはなく、結果として、世界のグローバル企業の広告宣伝に比して、相対的に劣ってしまう。
 そして、これが最近では、新興国でのブランド浸透力にも影響し、売上高が伸びにくくなり、市場占有率の拡大にも繋がらない。」 と仰る。  
 こうした現状認識を基にすれば、一つの、
「成長戦略」
のアイデアはすぐに浮かぶ。
 そうである。
「日本政府、税務当局が日本オリジンのグローバル企業が海外で行うグローバル企業としてのブランド戦略に関しては、本社のコストとして認め、かれらの必要に応じて機動的にグローバル・ブランド戦略を展開できるようにしてあげること。」
が簡単であり、かつ、日本政府が「支援金を出す」と言った表面に見えるコストが掛からない成長戦略として一定の効果が期待できるのではないかと思う。
 私なら、少なくとも、日本政府としては、簡単かつコストのあまり掛からない、しかし、効果が期待できるこうした戦略を、
「成長戦略の一つ」
として実施するであろう。
 そして、もし、上述したような私の見通しが違い、暫くたっても効果が出ないのであれば、また、元に戻せばよいのである。
 因みに、こうした戦略を国家・日本が取ることは、
「現状の会計や税務の"国際標準"に反することではない。」
ということを確認したうえでの提案でもある。」

と言ったことが大切になるかと思います。

如何でしょうか?
 新たな日本作り、私たち庶民の手で草の根から、出来るところから少しずつ、しかし、着実に進めて行きたいと思います。  引き続き宜しくお願い申し上げます。

 引き続き宜しくお願い申し上げます。


 
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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