SAITAMAビジネスライン 埼玉産業人クラブ
埼玉ちゃれんじ企業経営者表彰
ホーム    サイトマップ    当クラブについて   
現在位置:ホーム >Sanada発 現場から サイト内検索
 

2017年4月[Sanada発 現場から]


混沌の世界に於ける企業経営


[私見 混沌の世界と企業経営の基本について]
先行きが読みにくい世界、
「良く分からない」
と言う意味で、
「今は混沌の世界にある。」
と言えると私は考えています。
そして、混沌の中でも、私は特に、現在、
「欧州情勢」
に不安を感じています。
即ち、英国の欧州連合離脱協議の本格開始を三月に控える中、
「自国第一主義」
に代表される保護主義の台頭が懸念されるオランダやフランスで3月の5月に選挙が行われ、更にこれを受けてドイツでも秋には選挙が行われることとなっており、欧州の秩序に崩壊の不安が拡大する可能性が出てきています。
そして、こうした欧州の混沌拡大に更に拍車を掛けるように、
「未遂」
も含めたテロ活動が拡大しており、これに伴い、
「人の往来、ものの流通、マネーフローに対する監視を強化すべきである。」
と言った、
「欧州連合の根本理念そのものに対して反対を唱える一般庶民の声が高まっている。」
ことから、
「現行の欧州の秩序の根源にある欧州連合が崩壊していくのではないか?」
との不安が拡大しています。
すると、欧州連合崩壊を前提として、その欧州連合が発行する通貨である、
「ユーロの信用力下落」
の不安が拡大します。
この不安は更に、ユーロ建ての主要な債券となるユーロ建て国際やユーロ建て株式の時価低下に繋がり、よって、これらのユーロ建て資産の保有者の資産価値下落が予測されますが、その主要保有者は欧州の主要金融機関となります。
その欧州の主要金融機関の保有するユーロ建て資産価値が下落すれば、彼らの投融資活動は明らかに鈍化する、よって、これにより、欧州と言う図体にお金と言う血を流す心臓が小さくなる、従って、欧州経済は鈍化していく可能性が高い、この結果として、欧州経済の先行指標である、
「欧州株」
はここの所、基本的には、
「下げ圧力を受け続けている。」
と言え、何か一つでも不穏な動きがあれば、
「欧州株の暴落」
が発生、これを起因として、
「先進国株の連られ下落」
が発生、こうして先進国経済が下げトレンドに入れば、先進国に多くの実需品を輸出している中国本土経済も痛む、こうした結果として、
「所謂、日米欧、そして中国本土と世界の四極経済が全滅する危険性がある。」
ことを想定し、市場は大きくこれを不安視し、こうした暴落が起こらぬよう、精一杯、世界経済を下支えしているようにも映るのです。
また、万一、こうした四極経済暴落となると、その混乱に乗じて、日本政府は、
「デノミを実施し、一気に国家債務を表見上削減する手段に出ないとも限らない。」
とする見方すら一部には見られているのであります。
こうした見方は、全て、一定の前提を基にした、
「もしも」
の事態であり、そうなると言うわけではありませんが、さりとて、こうした見方を強く否定することも出来ず、世界は、
「分からないと言う混沌の世界」
に深く入り込んでしまっていると私には映ります。
こうした混沌と言う不安が拡大する時期にあっては、企業経営も先読みがしにくく、難しい時代となっています。
そして、分からない時代であるからこそ、私は、
「企業経営者は、企業経営の基本を粛々と実施していくしかない。」
と考えています。
それでは、
「企業経営の基本は何か?」
をしっかりと定義しておかなくてはなりませんが、私は、それはやはり、次のように定義されると考えています。
即ち、
「企業経営の基本とは、先ずは社会に貢献し、それを市場から評価してもらい、顧客に有難うと言ってもらって対価を受けること、
そして、
その対価が企業にとっての収入、即ち、売上高になり、こうした企業の創業目的、理念に基づいて得た、所謂、本業から得る収入であるところの売上高が基本になる、
従って、先ずは理念とそれを支える本業が重要である。
そして、その本業から得た売上高から営業関連の諸コストを差し引いたものが、本業の利益であるところの営業利益になる。
つまり、本業の利益であるところの営業利益は、
営業利益=売上高-コスト
となる。
そして、企業経営は理念の完徹と共に、本業の利益の極大化を図ることが基本であり、その為に、経営者は、常に、
売上高の極大化

コストの極小化
を図りつつ、
営業利益の極大化を図ることに注力している、
煎じ詰めれば、こうした行為こそが経営であるとも言える。
そして、経営者は、この売上高の極大化とコストの極小化を図る為に、自社の経営資源をフル活用しようと努力せねばならない。
自社の経営資源とは、技術であり、様々なノウハウであり、また、のれんなども含まれる。
ここで、冷静に眺めてみれば、これら経営資源は人に帰結していると言うことを、優れた経営者は気がつくのである。
例えば、技術などは単なる特許などの目に見える形で存在しているのではなく、人が技術を持ち、使い、実践して生かされているのである。
経営は人なりとは、正にこうしたことを背景として言われる定義であり、人材と言わず、人財と言う経営者には、人は財産との気持ちが込められていると思われる。
そこで、人に関しては、
* 優れた新人の採用
* 主として即戦力を意識した優れたプロフェッショナルの中途採用
* 採用した人材の育成
* そして、これら人材に対するアサインメントの徹底とその評価の公平性
と言った経営ノウハウが経営者には必要とされる。
また、企業経営の大きなコスト要因と言える人件費は、人財を前提とすれば、必ずしもコストとはならない。
しかし、可能な限りはコスト要因としての人件費はカットすべきである。
ここで、このカットとは、労働搾取を意味しない。
カットとは、人に代わって機械等によって代替化して削減できるものを指す。(当然のことながら、一時的には機械化によるコストアップが見られたとしても、減価償却期間等による一定期間を経て、コストカットが予想できるものは、積極果敢に代替化によるコストカットを図るべきである。)
即ち、設備投資を伴う機械化、省力化、自動化により、人に代わってコストカットが出来るものは、実行すべきである。
尚、この機械化には、日本企業が得意とする治具による代替化も含む。
こうして、人のマネージメント、もののマネージメントを適切に実施していかなくてはならないが、それを実行する為には、一定の資金を必要とすることになる。
そこで、資金のマネージメントにも経営者は、意識を払わなくてはならないが、その基本中の基本は、
* 資本は量、質共に適切か否か、資本政策の徹底を図る。
* 資金効率の向上を常に意識する。
* そして、キャッシュマネージメントに注力し、テクニカルディフォルト発生のリスクを回避する。
と言った点にあり、これらを実践することが肝要となる。
そして、こうした、人、もの、金のマネージメントを徹底させる上からも情報収集、管理、そして分析が必要であり、
“ビジネスの四要素”
の重要性をここで改めて知ることとなるのである。
こうして、
“すべきことを粛々とする。”
と言うことが今のこの混沌の時代には絶対不可欠であり、経営者はそれを実践すべきであるが、経営者がそれを実践する際には、常に論理的に言動しなくてはならず、また、計画対比で常にレビューをしつつ、経営の舵を取らなくてはならない。
更に、
* 自社のコアビジネスを先ずは一層安定化させる。
* その一方で、成長の卵を見つける。
* そうした中、他社、他者とのコラボレーションの可能性を探り、自社の可能性を極大化していくことが肝要となる。
* そして最後に、この混沌の時代、何が起こるか分からぬ中にあっては、
“Tail Risk”
を強く意識、自らのアキレス腱を知りつつ、生き延びる道を探り、生き抜く強い意志を持つことが企業経営の基本である。」
と私は考えています。
混沌を乗り越え、生き抜くために頑張ろうではありませんか!!
引き続き宜しくお願い申し上げます。
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光
 


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
コンテンツ

例会・講演会

各部会紹介

リンク


SANADA発現場から

お問い合わせ

当クラブ(地図)へのお問い合わせ、入会希望など、お気軽にお問い合わせください。

tel0438-872-2281 fax048-872-2285

Eメール
clubsaitama@sangyojin.org

お問い合わせフォーム

ホーム当クラブについて埼玉ちゃれんじ企業者表彰例会・講演会情報ファイルお問い合わせサイトマップ
NITEC埼玉産学交流会TDU産学交流会埼玉ビジネス研究会経営研究部会企業PR部会人材開発部会産友会分科会
Copyright (C) 2004 SAITAMA SANGYOJIN CLUB All rights reserved