SAITAMAビジネスライン 埼玉産業人クラブ
埼玉ちゃれんじ企業経営者表彰
ホーム    サイトマップ    当クラブについて   
現在位置:ホーム >Sanada発 現場から サイト内検索
 

2019年4月[Sanada発 現場から]


国際通貨基金の見る2019年の世界経済と日本再生


 国際金融筋が、定量分析、定性分析をし、総合分析する際の参考とする根本的データとコメントの一つは、国際通貨基金(IMF)の分析であります。
そして、そのIMFは2019年1月に、世界経済の見方を以下のように示しています。
以下はIMFの日本語版ホームページの記載を基本的に抜粋、ポイントを絞ったものであり、私の恣意的変更はしていません。
先ずは、以下をご覧下さい。

引用開始
「根幹的な成長の力強さを失う世界経済」
世界経済の拡大は力強さを失ってきている。2018年の経済成長率は、ヨーロッパやアジアを中心に2018年10月の「世界経済見通し」の予測よりも成長率が低かった国があったものの、10月の同予測同様に3.7%であったと推定される。世界経済は2019年に3.5%、2020年に3.6%のペースで成長すると予測されているが、これは2018年10月時点での予測と比べてそれぞれ0.2%ポイントと0.1%ポイントの下方修正である。

「2019年、世界経済の成長は鈍化する」
世界経済の2018年の成長率は昨年秋の予測から変わらず3.7%だと推定されているが、2018年後半に見られた減速の兆候を踏まえて、いくつもの国の成長率が下方修正されている。
2018年後半の弱さが今後数四半期も継続し、世界経済の成長率は2019年に3.5%へと低下するだろう。その後、2020年には3.6%へとわずかに改善する。これらの数字は前回の「世界経済見通し」と比べるとそれぞれ0.2%、0.1%の下方修正である。先進国は潜在成長率を超えるペースで経済が成長してきたが、こうした水準から先進国の成長率が持続的に下がること、この成長率の低下が以前の想定よりも急速に起こっていることが私たちの世界経済の成長率予測に反映されている。また、2019年に新興市場国や発展途上国の成長率が一時的に低下することも反映されている。これはアルゼンチンとトルコで経済がマイナス成長になること、また、中国本土などアジア諸国が貿易措置の影響を被ることを受けたものである。
具体的には先進国の経済成長は成長率が2018年の推定2.3%から2019年に2.0%、2020年は1.7%へと減速していく見込みである。2018年10月の「世界経済見通し」と比べると、先進国成長率の2018年と2019年の予測値はともに0.1%ポイント低くなっているが、これは主にユーロ圏に対する下方修正によるものである。

「日本経済とアジア経済」
日本経済は2019年に1.1%の成長を遂げる見込みだが、これは昨年10月の「世界経済見通し」と比べて0.2%ポイントの上方修正である。この上方修正は主に今年追加で実施される財政刺激策を反映している。例えば、2019年10月に予定されている消費税引き上げの影響を緩和する施策である。成長のテンポは2020年に0.5%へと緩やかになる予測であるが、この数値はこうした緩和策の実施を受けて、2018年10月の「世界経済見通し」比で0.2%ポイント高くなっている。新興市場国と発展途上国では成長率が2018年の4.6%から2019年の4.5%へと若干低下し、その後2020年に4.9%へと改善すると予測されている。2019年の成長予測については2018年10月の「世界経済見通し」比で0.2%ポイント低い。
アジアの新興市場国と発展途上国の成長率は2018年の6.5%から2019年に6.3%、2020年は6.4%へと低下する見込みである。アメリカの関税引き上げに伴う影響を一部相殺する財政刺激策にも拘わらず、中国本土経済は必要な金融規制の引き締めと対米貿易摩擦から生じる影響が相まってペースを緩める。インド経済は2019年に加速する態勢が整っている。石油価格が下がったことと、インフレ圧力の緩和を踏まえて金融の引き締めが以前に想定されていたよりも緩やかなペースで進むことの恩恵を受ける。

見通しに対するリスク項目
貿易摩擦
金融市場のセンチメント
多国間協調
国内政策
各国の政策展開余地の限定化
引用終わり

こうして見ると、やはり、
*米中摩擦の行方とその余波の拡散度合い
*欧州情勢の混沌
*中東と中南米情勢の不透明性拡散不安
があり、これらを受けて、
「国際金融市場が予想外に世界情勢を悲観的に見ると、世界経済は一気に大きく悪化する可能性がある。=金融市場のセンチメント」
「経済危機に対する各国の政策展開余地が限定的となっており、一気に世界経済が悪化する可能性がある。=各国の政策展開余地の限定化」
などが私としては、とても気になります。
そして、最悪の事態を予測すれば、
「世界的な景気減速が顕在化、世界同時不況となる。」
とも言えます。
これに、外交、軍事要因も不透明ともなれば、地域的な戦争の勃発も懸念され、さらに深刻となる危険性すら孕んでいるのではないかと考えます。
悲観的と言われそうですが、現行の世界情勢の中では、私たち一般庶民は、
「一応」
最悪の事態を覚悟しつつ、最悪の事態を想定して対応して日々を過ごし、幸いにも、それよりも良ければ、
「ラッキー」
と考えて生きていく方が精神的には楽ではないかと考えます。

「日本再生のヒント」
主な先進国が製造業育成に積極的に取り組んでいると私は見ています。
こ うした背景には、良質で安定した雇用機会を増やす上で製造業が最も有利となるとの考え方があるからであります。
そしてまた、こうした動きは、
「先進国であるが故、消費財の需要、インフラ開発の需要が一定程度に留まっている。」
ことから、
「安定成長と言う低成長」
を必然としている先進国の雇用育成に貢献するから、戦略的に取り組まれているものでもあります。
そして、具体的には、米国のトランプ政権の保護貿易主義に見られたり、日本のアベノミクスによる産業構造調整と大規模投資、或いは、ドイツのインダストリー4.0などは製造業再生を重視しているところに見られていると考えます。
更にここに、発展著しい中国本土も製造業育成に取り組み、
「ものづくりへの期待」
は強まっていると考えられます。
しかし、私は、こうした進展の中で、大きく二点の課題を意識しています。
即ち、
(1) 製造業、特に先進国の製造業が強化されると、その作った製品の販売拡大を意識する各国、各企業は人々に借金をさせてでも消費させようと動き、過剰消費を生む、それが、地球資源の浪費に繋がり、下手をすると地球環境問題にも繋がる危険性もある。
(2) AIを含むIOT化の進展によって、予想以上に雇用を創出しないかもしれない、特に先進国ではその傾向が強くなる可能性がある。
という点を意識しており、
☆真に必要なものの生産と金融の製造業との融和的発展
☆人と機械・AIの共生による生産効率化
が必要となると考えています。
そうした意味で、
「日本はこれを具現化できる先進国の一つであり、具現化出来れば、先進国の新たな発展モデルとなる。
それにより、日本の復活も具現化できる。」
とも私は考えています。
従って、今の時代は、こうした視点から見ると、
「日本再生のチャンス」
の時代であり、
「日本はこのチャンスを逃してはならない。」
と考えています。

引き続き宜しくお願い申し上げます。

以上

 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光
 


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
コンテンツ

例会・講演会

各部会紹介

リンク


SANADA発現場から

お問い合わせ

当クラブ(地図)へのお問い合わせ、入会希望など、お気軽にお問い合わせください。

tel0438-872-2281 fax048-872-2285

Eメール
clubsaitama@sangyojin.org

お問い合わせフォーム

ホーム当クラブについて埼玉ちゃれんじ企業者表彰例会・講演会情報ファイルお問い合わせサイトマップ
NITEC埼玉産学交流会TDU産学交流会埼玉ビジネス研究会経営研究部会企業PR部会人材開発部会産友会分科会
Copyright (C) 2018 SAITAMA SANGYOJIN CLUB All rights reserved