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2019年6月[Sanada発 現場から]


米国・トランプ大統領に対する評価


今回は米国のトランプ大統領に関する見方について、コメントしてみたいと思います。
一つの見方として、ご参考にして戴ければ幸いです。

昨年のことになりますが、ニクソン元米大統領を辞任に追い込む、
「ウォーターゲート事件」
を暴いたことで有名な、米国のワシントン・ポストのボブ・ウッドワード氏によるトランプ政権の内幕本である「FEAR(恐怖)」という本が発売されました。
この本の中では、例えば、北朝鮮への先制攻撃計画の策定やシリア大統領の殺害指令などが示されています。
私は、トランプ大統領の経済政策は、
☆宇宙航空産業とその延長線上にある防衛産業の充実による雇用確保と利益拡大
☆IOTを軸とする第四次産業革命を意識し、自動走行を基にして、米国産AIのグローバル標準化推進
☆グローバル物流ビジネスの根幹確保
と言ったものから構成され、米国第一主義の視点からすれば、米国の雇用確保と利益拡大、そして、グローバル標準化推進の上から見ても、大変素晴らしいと考えていますが、しかし、外交問題については、やはり、
「あまりにも利己的であり、高飛車であり、国際協調心に欠け、見方によっては、感情的とも言える。」
と見ています。
実際に、上述の「FEAR」が出版された後の日本や韓国、中国本土など、アジアの国でのトランプ大統領に対する評価を見ると、
「これは、即興的、感情的なトランプ大統領の姿そのものである。
米国政権の安全保障政策は危うい綱渡りを続けている。」
というものが見られています。

少し、その内容を眺めてみます。
即ち、「FEAR」によると、トランプ大統領は就任1カ月後の2017年2月、米軍制服組トップのダンフォード統合参謀本部議長に対し、北朝鮮への先制攻撃計画を作るよう指示をしたとされています。
所謂、
「金正恩斬首作戦」
です。
これを、ダンフォード議長が当時、共和党の重鎮グラム上院議員に体を震わせながら打ち明けたと書かれています。
そして、ダンフォード議長は、
「大統領に計画を提示する前に諜報活動を強化しなければいけない。」
と回答したようです。
 そうした上で、同年10月、北朝鮮と地形が似ている米ミズーリ州のオザーク高原で、爆撃機を使った空爆のシミュレーションが行われたと記されています。
更に、私の認識では、
「米国には憲法で要人の暗殺を禁じるルールがある。」
にも拘らず、米空軍には、指導者を殺害する複数のプランがあり、パイロットは、
「北朝鮮の指導者がいると思われる場所」
と交信し、最大の威力が発揮できるよう低空から爆弾を投下するとの実験をしたと暴露本では表現されています。
同年4月にアフガニスタンで過激派組織「IS」の地下施設を破壊するために投下された大型爆弾も使われ、岩盤地域の北朝鮮の地下深くに逃げ込むであろうとみられる金正恩委員長の殺害の可能性を確認する実験が行われたようです。

また、マクマスター大統領補佐官(当時)が強硬派で、ホワイトハウス内では、
「もし大統領が北朝鮮の攻撃を容認するのであれば、北朝鮮が核ミサイル兵器を向上させる前が良い。」
と主張していたとも報告されています。

そして、トランプ政権内で検討された先制攻撃計画は、
「鼻血(Bloody nose)作戦」
と呼ばれ、その後の米朝の緊張緩和がなければ、何らかの誤算で軍事行動が取られた可能性もあるとも見られています。
 
こうしたトランプ大統領はまた、韓国の文在寅大統領と電話会談した際、米韓自由貿易協定(FTA)の破棄と終末高高度防衛ミサイル(THAAD)撤収で圧力をかけていたとも報告されています。

即ち、トランプ大統領は過去数回の電話会談で文大統領に対し、米韓FTAを批判的に責め立てており、トランプ大統領は前述の文大統領との電話会談では、
「180日以内にFTAを破棄する書簡を送り、貿易関係を破棄したい。
あなたたちは私たち米国のカネを食い物にしている。
また、あなたたちはTHAADのシステムに対する費用を支払うべきである。
我々はなぜTHAADをそこに持っていかなければならないのか。」
と言葉を荒げ、文大統領に迫ったようです。
これに対して、文大統領は、
「貿易と安全保障は絡み合っている。
経済的関係で一部誤解があるかもしれないが、結局は相互理解に到達することを願っている。」
と回答したとされます。
そして、著者であるウッドワード氏はこのやりとりについて、
「トランプ大統領が米韓FTAと韓国の文大統領を甘く見た。」
と評しています。

そして、マクマスター大統領補佐官(当時)は、THAAD撤収を主張するトランプ大統領を説得する為、
「米国はTHAAD配備用地を99年間無償で借り、良い取引をした。」
と話したが、トランプ大統領は地図を見て、
「役に立たない土地である。
すぐに米国に撤収しろ。」
と答えたという記述も書かれており、更に、トランプ大統領は2017年7月、米国の国防総省で開かれた会議で、
「在韓米軍は必要ない。
なくても子どものように大人しく寝ているはずである。
在韓米軍がなぜそこにいるのか分からない。
すぐに皆連れて帰れ。」
とも発言したとされています。
朝鮮半島は、大人しく米国の言うことを聞く、ポイントは中露であり、中露との軍事攻撃を想定する場合は、在日米軍基地とグアムの基地からの攻撃で足りるはずであるというのがトランプ大統領の基本的な考えのようであります。
私は、トランプ大統領のこうした、
「驕り」
にも似た考え方は、世界のバランスを崩し、世界情勢を悪化に導くものと考えます。

トランプ大統領は、基本的には、
「覇権主義者」
であり、また、驕りのある人かもしれませんが、もう少し、心ある、
「協調の心に基づく均衡主義者」
の気持ちを理解しないと真の世界リーダーにはなれないと思います。
そしてまた、このトランプ大統領に限らず、私は世界のリーダーには、覇権意識があっても構わないが、しかし、一般市民の心も分かる、
「義の心を持つ」
真の世界リーダーになって戴きたいものであると考えています。

引き続き宜しくお願い申し上げます。

以上

 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光
 


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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