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2019年8月[Sanada発 現場から]


ローウィー研究所のアジアパワー指数報告とトランプ政権の動き


[はじめに]
 今月はオーストラリアのシンクタンクであるローウィー研究所のアジアパワー報告についてと、米国のトランプ政権の動きを眺めてみたい。

[ローウィー研究所のアジアパワー指数報告]
ブルムバーグなどの報道によると、オーストラリアのシンクタンクであるローウィー研究所は、
「アジア太平洋地域への影響力で米国に勝る国はないが、米国のトランプ大統領の保護主義的な貿易政策を背景に中国本土の力が増している。」
との総括コメントをしています。
このローウィー研究所は、オーストラリアのシドニーを本拠とする研究所であり、その公表した2回目の年次「アジアパワー指数」によれば、米中に続く3位が日本となっており、また、歴史的な米朝首脳会談の効果もあり、北朝鮮は順位を上げているとも報告しています。
そして、注目すべきコメントは、
「米中間の力の差縮小を米国が止める可能性は低い。
トランプ政権の貿易戦争重視は経済関係における米国の顕著な影響力低下の反転にほとんど寄与していない。」
と厳しい見解を示しています。

また、このローウィー研究所は、軍事力や防衛ネットワーク、経済資源・関係、外交・文化的影響力などの指標に基づき25カ国・地域のランク付けを行い指数化したとしており、大半の指標で米中が首位争いをしているともコメントしています。
こうしたことからすると、米中によるアジア二強とも言え、これは、事実上、世界二強にも等しいとも言えます。
そして、今回は中国本土と北朝鮮が最も大きく躍進、一方、アジアに於けるリベラルな秩序のリーダーになったのが日本であるともコメントしています。
更にこのレポートによれば、
「中国本土が急速に米国に迫っているが、中国本土政府は政治・構造的な課題に直面している為、地域で紛れもない優位性を確立するのは困難かもしれない。」
との見方も示しています。
尚、米中日に続く4位はインド、そして、ロシア、韓国、豪州、シンガポール、マレーシア、タイの順でトップ10入りを果たしているともコメントしています。

これをまた、採点点数で見ると、米国は昨年と同じ84.5点で2年連続1位、2位の中国本土は昨年よりも1.4点高い75.9点で、米国との差が1桁台となっています。
これに大きな差をつけられながら、日本が42.5点で3位、インドが41点で4位となり、いずれも強大国に分類されました。
5位のロシア(35.4点)から17位のフィリピン(13.7点)までは中間国で、最も低い4.7点のネパールなど10点未満の8カ国は弱小国とされ、北朝鮮は14点で全体の16位でしたが、昨年に比べて1ランク上がっています。
そして、ローウィー研究所は、
「日本は果敢な海外投資によって影響力を拡大し、自由陣営のリーダーに浮上している。
インドは政府の統制力が弱い。」
ともコメントしており、これが米中との差をつけられながらも3位、4位となった日本とインドに関してのコメントとなっています。
アジア二強、世界二強時代の中で、何とか日本も特徴を活かしながら、世界に良い意味で影響力を持つ国にしていかなくてはならないですが、ローウィー研究所は、そうした意味で、日本が良い傾向にあると評価してくれているように思います。

[米国・トランプ政権の動き]
 ところで、私は常日頃から、人々が生きていく為に必要なものやサービスに近いビジネスは、人がいる限り、需要が残る、従って、コスト対リターンをきちんとマネージ出来ればビジネスは成立する、そして、それは、
「水」
「食糧」
「原材料」
「エネルギー」
の分野であり、
最近では大気汚染などを背景に、
「空気」
も対象に入る様相である、
更に、これらを結ぶ、
「国際金融」
「グローバル物流」
と言う、サービス部門も重要であり、技術の進歩の中、こうしたものやサービスのビジネスを支えられるようになった、
「グローバルな情報通信分野」
が注目されていると見ています。
しかし、これまで大量生産・大量販売のマス・ビジネスモデルで、世界の経済は主として運営されてきましたが、消費財の普及やインフラの整備によって、自ずと重要が減退している先進国のビジネス環境にあっては、需要そのものがまだ相対的に残る新興国への進出へとビジネスの場は展開され、この結果、
「国際化」
が進展する一方、各所のアイデンティティが毀損され始め、世界の新たな、
「不安定化」
に向けた火種となりつつあります。
こうした中、
「米国基軸の覇権主義」
の下、
「全く新たな世界秩序」
を構築しようとする米国のトランプ政権が誕生したと私は見ており、私はそのトランプ大統領とその政権は、現行の世界秩序をある程度踏襲しつつ、
「世界の既得権益層が現在握る、国際金融、国際情報通信分野」
をIOT技術の高まりを背景に再構築しつつ、その覇権を握る動きに入り、例えば、
「フェースブックなどと法定通貨を背景とした電子マネー化を前提とした新金融システム」
「グーグルなどとグローバル商品に付着するグローバルAI」
「アマゾンなどとグローバル物流」
の標準開発を進め、新たな形で米国が主導する新基軸を作るべく頑張っているように映ります。
一方、米国の軍事力を基軸とする体制を維持、強化する為、第二次世界大戦の枢軸国であったドイツと日本に防衛負担を強いつつ、米国の軍事力標準の傘下に入れようと動き、先ずは防衛予算拡大を迫りつつ、日本には中露牽制を、ドイツには、フランスを軸とした新欧州防衛システム構築に対する牽制を図ろうと動いているように見られます。
今後の米国の動向をしっかりとチェックしたいと思います。

引き続き宜しくお願い申し上げます。

以上

 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光
 


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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