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2019年9月[Sanada発 現場から]


朝鮮半島情勢と米中露、南北朝鮮、日本


[はじめに]
 最近は日韓関係や北朝鮮の飛翔体発射をはじめ、朝鮮半島情勢を巡るニュースがしばしば報道されています。
 そして、その背後で、米中露の動きも見え隠れします。
 日本としては、難しい立ち位置にあると思います。

[朝鮮半島情勢と米中露、南北朝鮮、日本]
朝鮮半島問題は、世界の大きな課題の一つとなっています。
しかし、米国のトランプ大統領からすると、イランを軸とする中東問題と米国の足元であるベネズエラ問題に先行きが見えぬ中、優先順位は、今は低いのではないかと見られます。
中国本土は、北朝鮮が、北京を射程に収める核爆弾を保有したことについて、ある意味では、米国以上に北朝鮮の非核化を望んでいるものと思われ、北朝鮮の非核化については、米国と同じ立ち位置にあると考えても良いと思います。
ロシアは、元々の北朝鮮の盟友として、朝鮮半島には強い関心があるものの、今は、朝鮮半島にまで、勢力を注ぐ余裕はない、しかし、朝鮮半島問題にコミットしたい、そして、北朝鮮を同盟国と見ていることから、北朝鮮の非核化については、米中ほど、積極的に、真剣には捉えていないと考えられます。
一方、朝鮮半島問題の当事者たる南北朝鮮は、共に米中には、真の信頼感は置いておらず、南北融和、緩やかな南北統一を果たし、米中とより対等に国際社会でDealをしていきたいと考えている、特に北朝鮮の出自である文大統領は、韓国のトップとして、そうした状況を具体的に確立するという思いに燃え、ある意味、民族統一、民族発展あるべしという観念的な言動を繰り返しています。
その上で、南北朝鮮は、統一の為の資金を、
「日本は戦後賠償をしていない国」
との国際世論を醸成した上で、日本から引き出す手段に出てきているものと見られます。
こうした中、G−20という世界的な国際会議の直後、その会議の成果を吹き飛ばすような、
「米国と南北首脳による板門店会談」
が開催されたのは本年6月30日でした。
トランプ大統領のDeal感覚の中では、
「混沌を深めるイランを中心とした中東情勢とイスラエルとの連携強化」
そして、米国の足元、南米で起こっている、
「ベネズエラ問題への早期対応」
を優先させ、中国本土と朝鮮半島に関するプライオリティは相対的には低下しているように思います。
そうした中、中国本土の習近平国家主席の電撃的な北朝鮮訪問により、
「習近平国家主席は、北朝鮮の金正恩委員長が核ボタンを押す資格を持つ人間がどうかを、金委員長を中国本土に呼びつけるのではなく、習近平国家主席自らが北朝鮮に入り込み、しっかりと肌感覚で確認した。」
との見方があり、更に、その上で、
「北朝鮮からの核攻撃を受ける潜在的リスクを持つ中国本土としても、米国同様、北朝鮮の本格的な非核化を望んでいる中、北朝鮮を中国本土自らが管理する覚悟をした。
しかし、万一、中国本土の指示に北朝鮮が従わぬ場合、その究極では、米中が共同戦略によって、北朝鮮の金正恩政権を削除する、その上で、中国本土に居る故・金正南氏の子息を北朝鮮に送り、正式に北朝鮮の非核化を進めるということで、米国と合意した。
そして、習近平国家主席は、その見返りとして、トランプ大統領から、ファーウェイの延命を軸とする米中交渉の継続の権利を獲得した。」
との見方も出ています。
偉大なるDeal Makerたるトランプ大統領、習近平国家主席らしい動きとも言えるかもしれません。

そして、その後の動きを見ると、
「今後、北朝鮮との対話を如何に進めて行くべきかについて、米国政府内部では意見が割れている。」
との見方が出てきています。
即ち、ワシントンの官僚は、
「核交渉の再開で北朝鮮の金正恩委員長は一体、何を要求して来るのか」
について、
*トランプ政権の中で最もタカ派として知られるボルトン安全保障問題担当大統領補佐官は、
「北朝鮮の核活動を事実上凍結させる代償として米国が行う可能性ある譲歩」
についての、The New York Times紙のレポートを読んで激怒、
「北朝鮮は、如何なる対価を得ることなく核プログラムを、直ちに解体すべきである。」
と主張しています。
*一方、米国官僚の中には、
「核凍結は、金委員長が如何なる対価も得ることなく、一層包括的な合意への道へと進むためのファースト・ステップである。
米国政府はその対価として、北朝鮮経済・市民生活の改善のため、ある程度の譲歩を行う。」
ことを考えていると米紙では報じられています。
*そして、最終Decision Makerたるトランプ大統領は、2020年の大統領選挙を睨んで自分で作り上げて来たディ―ル・メーカーとしての立場を一層輝かしいものにすることに熱心であり、北朝鮮との間で、ステップ・バイ・ステップの交渉をしたいと考えている様であり、今回北と南の休戦ラインで金委員長と会ったことで、北朝鮮が核を完全に放棄することになるなどとは、公には一度も言ったことがないとしています。
こうした中、トランプ大統領は、
「米朝実務者協議を再開し、米国のコミットメントを確保」
した上で、上述したように、
「北朝鮮との詳細協議と説得は一旦、習近平国家主席に任せ、やれるものならやってみよと様子を見、これが上手くいけば、トランプ大統領自らが、背後で中朝を指導した結果と習近平国家主席の努力を上手にさらう形で、米国内で伝え、次期大統領選挙に生かす、(尚、この場合、習近平国家主席が、中国本土国内で習近平国家主席自身の実績を示すことは敢えて邪魔しない。)
もし、習近平国家主席の北朝鮮説得工作が不冴えとなれば、上述した米中挟み撃ち作戦に基づく金正恩政権の削除に出て、防衛産業筋に恩恵を与えつつ、極東をより平和な世界にしたと世界に訴え、次期大統領選に生かす。」
といったことをイメージしているように私は見ています。
複雑に動く世界情勢、しっかりと見つめなければなりません。

[日本の産業力とその在り方]
 複雑に展開する国際情勢の中で、日本はどうしたらよいのか、をしばしば考えます。

そして私は、国際情勢がどうであれ、
「日本は世界が必要とする物やサービスを、できる限り日本からしか提供できないような技術やプロセスマネージメントを背景にして、適正価格で世界に利用と価格を安定化させて供給できる国になれば、世界は日本を必要とする、よって、世界は日本を無視出来ない、ここで、日本が覇権を求めなければ、日本は世界から尊敬される国として存在し得る。」
と考えており、そうした国を目指して、日本の産業政策を展開していくべきであると考えています。

さて、夏休みに入り、各地の企業を訪問させて戴いています。
 こうした訪問をする中で、私がしばしば感じることは、
「日本の伝統産業の中には、
 協業、分業体制
で頑張って発展してきたものが多々ある。
 一方で、一人の職人が全てを貫徹する職人技の伝統工芸もある。
 これらは、平和の時代の江戸幕府時代に日本に定着し、今日の日本の産業の基礎の一つとなっている。」
と言うことであります。
 例えば、伝統のひな人形産業などは、人形の顔を作る職人と、身体を作る職人の協業、分業体制になっており、自然発生的な、
「ワークシェアリング」
になっています。
 一方で、陶芸のように、土作りから、その土をこねて陶器の原型を作り、焼くといった仕事を一人の職人が貫徹するといった伝統産業もあります。
 そして、更に、この一人の職人貫徹型の伝統産業であっても、その職人たちが、
「競争しつつ、協調をして、切磋琢磨しつつ、技術を磨き続ける。」
といった風潮が日本にはあります。
 即ち、
「技術を競い合いながら、磨くと共に、その技術を必要に応じて教え合い、そしてまた競争する、そして、そうした技術の向上を目指す者は、多くの者から尊敬され、協業、分業の対象ともなり得る。
 こうしたところに、今の日本の、第一次産業を含めたモノづくり産業の基盤があり、良いものを作る基盤がある。」
と考えられます。
 個人主義ではなく、協調、分業体制をベースとした日本の産業基盤を持ち続ける、これが日本の強みであり、私はこれを基にして、日本は更に発展するように頑張っていくべきであると考えています。

引き続き宜しくお願い申し上げます。

以上

 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光
 


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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