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2020年1月[Sanada発 現場から]


英国とベトナムに対する私見


 [はじめに]
 今月は、英国について、そしてベトナムについて、簡単にコメントをしてみたいと思います。
 総選挙もある英国をイメージした関連コメントであります。
 一方、ベトナムについては、先日、ハノイを訪問しましたので、コメントしてみたいと思います。
 少しでもお役に立てば幸いであります。

[英国に関連した一言]
英国を訪問し、歴史ある大学や主要都市を回ると、植物園があることに気付きますが、更にそこを見て回ると、しばしば、
「大航海時代以降英国が世界から集めてきた種子そのものが保存されていたり、その種子でいまも栽培している植物が見られたりする。」
ということにも気付きます。
世界の覇権を握ろうとする者は、
「世界の種」
を集めているのですね。
また、今の世界に於いて、例えば、
「種の原種」
が多いと言われる地域の一つである、中国本土の雲南省は、
「種子の域外持ち出し」
に対して、厳しい規制を示しています。

さて、我が国・日本には種子法がありました。
正式には、
「主要農作物種子法」
と言われ、1952年5月1日法律第131号として制定されました。
種子法は、主要農作物であるコメや大豆、麦など、野菜を除いた種子の安定的生産及び普及を促進するため、米、大豆、麦の種子の生産について審査その他の措置を行うことを目的として制定された法律です。
しかし、この種子法は、2018年4月1日をもって廃止されました。
食糧難だった時代に制定されたものの、大都市と農業県に国が一律に指導する形は廃止され、市町村など各地方自治体ごとに奨励品種への権限が委譲されるようになりました。
種子法は、第二次世界大戦の混乱から日本が再び国家として動き始める大きな契機となったサンフランシスコ講和条約が発効された翌月である1952年5月に制定され、コメや大豆、麦といった主要作物について、優良な種子の安定的な生産と普及を“国が果たすべき役割”と定めた法律としてスタートしました。
都道府県による普及すべき優良品種(奨励品種)の選定や、その原原種および原種・一般種子の生産と安定供給に都道府県が責任を持つことが定められていました。
今や、戦後の混乱を経て、そうした種子の公的管理が不要となったとの認識の下、廃止された訳ですが、ノアの箱舟を意識しても、種の保護は大切であり、また、特に農業経済社会を軸とする日本としては、植物の種の保存は重要であり、また、遺伝子組み換えによる、
「善意の品種改良」
を進めるとともに、
「悪意の遺伝子組み換えと副作用をもたらす危険性のある遺伝子組み換え」
には、やはり、公が管理と監視を続けていくべきではないか、そして食糧安保の上からもと私は考えています。

ところで、英国の首都?ロンドン中心部のテムズ川にかかる、有名なるロンドン橋付近で11月29日午後2時頃、複数の通行人が男に刃物で刺されるという事件が発生しました。
犯人と見られる男は駆けつけた警察官によって射殺されました。
そして、ロンドン警視庁はこの事件をテロ事件と断定しました。
射殺された男は爆発物のようなものを体に巻き付けていたようですが偽物であったと報告されています。
この事件について、ジョンソン首相は、
「我々の国はこの種の攻撃に決してひるむことはない。」
と述べ、全力で捜査にあたる考えを示唆しています。
尚、ロンドン橋付近では2017年6月、歩道を車で暴走して歩行者をはねたうえ、車から降りた犯人が近くの市場で通行人をナイフで刺すテロ事件があり計8人が死亡するという事件があります。
私はこうした事件は、英国国民をして、
「やはり、欧州連合離脱をするべきである。」
と言う考えを再び強めさせる事態となり得ると考えており、12月12日に迫る総選挙への影響を注目しています。

[ベトナムに関連した一言]
 先日はベトナムのハノイに入りました。
ごく簡単にベトナムの概況を申し上げます。

ベトナムは、約9,600万人を超える人口を持ち、一方、平均年齢31歳という若い人材を抱える中、
「国民の強い消費意欲」

「政府が推進するインフラ投資の拡大」
が背景となり、
「消費拡大と投資の拡大」
が見られ、内需を支えています。
そして、こうしたベトナムの内需を支える為、ベトナムは国家を挙げて、輸出産業の拡大を図り、
「外貨の獲得」
を進めてきた結果、
「相対的に高い経済成長率」
を達成してきていると言えましょう。
実際に、ベトナム政府・統計総局によると、2018年の実質GDP成長率は7.1%となっています。
2015年〜2017年の平均実質GDP成長率が6.5%と非常に高い経済成長を遂げてきており、2018年も高成長を維持、過去10年間でもっとも高い成長率となりました。
これによって、2018年から過去5年間の平均実質GDP成長率は6.59%となり、ベトナム政府は、2019年の実質GDP成長率目標を6.6〜6.8%に設定し、2019年以降も堅調かつ高い経済成長率が見込まれています。
更に、上述したように、ベトナム政府主導で国内インフラ開発を推進し、投資環境の整備を進めてきていることもあり、2018年の海外直接投資(FDI=Foreign Direct Investment)は前年対比9.1%増の191億米ドルを記録、6年連続で過去最高額を更新しており、こちらも、2019年も堅調に推移しています。
こうした、内需を支える外需の詳細を見ると、2018年の輸出総額は2,447億米ドルとなっており、前年対比プラス13.8%、一方、輸入総額は2,375億米ドル、前年対比プラス11.5%となり、輸出入ともに拡大トレンドに入る中、貿易収支も72億米ドルの黒字となっており、過去最高の貿易黒字をマーク、黒字基調が定着してきていることなどから、内需、外需のバランスの取れた経済発展パターンに入りつつあります。
そして、2019年も本年最後の追い込みに入る中、2018年前半より続いている米中貿易戦争の影響で、縫製業を中心に、制裁関税が課された製品の生産拠点が、中国本土からベトナムへ移行すると言った動きも見られ始めており、ベトナム経済全体が好調に発展していくというポジティブなシナリオに入っていると見て良いのではないでしょうか。
そして、こうした結果、ベトナムの名目GDPは2018年通年で2,372億米ドル(5,535兆ドン)まで拡大、一人当たり名目GDPも2,551米ドルとなっています。
今後のベトナム経済の発展を大いに注目したいと思います。

 尚、EMS(電子機器の受託製造サービス)大手の緯創資通(ウィストロン)は、私のベトナム出張中、ベトナムの北部ハザン省に工場を設置すると発表しました。
どうやら、米中貿易摩擦の対応策の一環で、フィリピン、マレーシアに次ぐ海外進出であり、同社がベトナムに工場を設立するのは初めてとなります。
米中摩擦の漁夫の利でベトナムに進出してくる、中国本土企業も含めた外国企業は総じて増加傾向にあるようです。

引き続き宜しくお願い申し上げます。


以上

 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光
 


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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