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2020年3月[Sanada発 現場から]


国際通貨基金(IMF)が見る2020年の世界経済


権威ある国際機関と言われている国際通貨基金(IMF)が発表した最新の世界経済見通し(WEO)によると、2020年の世界全体の経済成長率は3.3%と予測され、昨年10月時点の予測から0.1%ポイント下方修正されています。
インドを含む新興国の経済が予想より大きく減速すると予測されることが下方修正の背景とされています。
但し、米中が通商交渉で「第1段階」の合意に達したことで世界全体の貿易及び製造業の活動が近く底入れする兆しがあるとの見方がIMFから改めて示された点は特筆されています。

また、同時にIMFは、2019年の世界全体の経済成長率は2.9%になったとし、これも前回に比して0.1%ポイント下方修正し、更に2021年についても、3.4%とし、同0.2%ポイント引き下げています。
この下方修正は、インドを含む多くの主要新興国について経済見通しを再評価したことが背景とされ、こうした国では、信用収縮のほかノンバンク部門の圧迫により、内需が予想より大きく減退したとコメントされています。
また、このほか、チリについては政情不安、メキシコについては投資が引き続き弱体化していることを理由に成長率見通しを引き下げており、中南米にもリスク要因があることが指摘されています。
一方、
「米中が今月15日に貿易交渉を巡る第1段階の合意に署名したことで市場心理が改善し、これにより、今後のStable、安定化に向けた兆候は根付き、最終的には堅調さが継続している消費支出と改善された企業投資を拡大していく可能性がある。
しかし、世界的なマクロ経済データでは、転換点の兆しはまだほとんど見られていない。」
ともコメントされています。
そして、
「今年は年明け早々、中東で緊張の高まりが見られた他、豪州やアフリカの一部は気候変動による劇的な衝撃を受けた。
世界的な経済成長は底入れした可能性があるものの、回復の兆しはまだ見られず、通商問題から気候変動問題に至るまで数多くのリスクが存在していることで見通しの不確実性は高い。」
との認識が示されています。

国・地域別で世界経済を見ると、中国本土の2020年の経済成長率は6.0%と、前回見通しから0.2%ポイント上方修正されており、その背景として、米国が発動予定だった一部関税措置を取り下げたことなどが理由として挙げられています。
一方、米国については、2017年の減税措置の影響が薄れていることに加え、連邦準備理事会(FRB)の緩和策を背景に、2020年の経済成長率は2.0%になるとし、前回見通しから0.1%ポイント下方修正されている点、気になります。

昨年、リスク要因を抱えたユーロ経済圏は1.3%になるとし、前回見通しから0.1%ポイント下方修正されており、ドイツの製造業の停滞のほか、スペインの内需低迷が成長鈍化要因となるとのコメントもされています。
英国については欧州連合(EU)離脱が秩序立ったものになるとの見方から、2020年は1.4%、2021年は1.5%で安定化するとの見方が示されていますが、私はBREXIT交渉の行方と、何よりも英国の国内情勢によっては、英国経済の見通しは大幅に変わる可能性があると見ています。

また、上述したインドは5.8%とし、前回見通しから1.2%ポイントもの下方修正がなされました。
国内の信用収縮が要因で、今回の世界経済見通しでは新興国としては最大の下方修正となっています。
2021年には財政刺激策の効果で6.5%に戻すとの見方を示していますが、それでも前回見通しからは0.9%ポイントもの下方修正となります。

そして、IMFはチリなど他の新興国も下方修正しており、メキシコについては1.0%になるとし、前回見通しから0.3%ポイント引き下げました。

IMFは米中の第1段階の合意でリスクは後退したとしながらも、
「米・イラン問題を含む地政学的な緊張の高まりが世界的な原油供給の阻害や心理の悪化につながり、企業投資が弱体化する可能性がある。」
とし、多くの国で社会不安が高まっていることで経済活動が阻害され、経済成長率が予想よりも低くなる可能性があるとも付言しています。
リスク要因を侮れないことは間違いないと思います。

そして、私は何よりも、
「新興国を含む世界全体の経済成長率が、改善されるとは言え、3%台というのは、やはり、異常な低さであり、世界経済の成長力が弱っている。」
との見方をしています。
 もう一点、
「先進国の中では、日本の経済成長率が一段と低い状況になっている。」
ことも気にしなくてはなりません。
景気先行きについては、引き続き、警戒感を持って注視していかなくてはならないと思います。

経済成長率見通し 単位:前年対比成長率%  出所:IMF

          2020年    2021年
世界全体            3.0        3.43

先進国全体     1.64       1.62
米国                2.03       1.74
ユーロ経済圏    1.31       1.43
英国                1.44       1.51
日本                0.71       0.45

新興国・開発途上国全体4.39      4.59
中国本土              6.00      5.80
インド        5.84      6.52
ロシア        1.92      1.98
ブラジル       2.17      2.27
メキシコ       0.96      1.61

引き続き宜しくお願い申し上げます。


以上

 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光
 


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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