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2021年3月[Sanada発 現場から]


世界経済を俯瞰する


今回は世界情勢全般、特に、後半では、
「混沌としている世界」
について、述べてみたい。
 世界の主要国のリーダーが、
「今だけ、金だけ、自分だけ」
と我欲の塊と化しては世界の安定は期待できない。
 今後の世界情勢を注視したい。

[世界情勢全般]
先ずは、いくつかの国の状況を眺めておきたい。

 英国のジョンソン首相は、今年のG7の開催国・輪番議長国として、
「6月にイングランド南西部のコーンウォールの海辺の村でG7サミットを、対面方式で接開催する予定である。」
を発表している。
6月11日から13日までカービスベイで会議を主催するとされており、新型コロナウイルスを抑えて開催することを前提としている。
ここでの、大局的な議論、正義の議論を大いに期待したい。

昨年11月に実施された米国の大統領選で勝利した民主党のバイデン氏は1月20日正午、第46代米国大統領に就任した。
米国の社会分断を悪化させたトランプ前政権時代の政策を転換し、国民の融和を目指すとし、新副大統領には、米国史上初めて女性のハリス氏が就任したが、彼女はそもそも県債上がりの「監視」をする側にいる人であり、
「既得権益層に支えられている」
と見られるバイデン政権が米国の分断を一層深める可能性はある。
そして、実際に、バイデン大統領の就任演説を聞いても、基本的には、問題があると見られる、
「内政問題一色」
と言った演説に終始したように思われる。
また、格差問題にナーバスな、身内、民主党内のサンダース氏を軸とした勢力の動きにも注意しなくてはならない。
前途多難ではないかと一応見ておきたい。
一方、バイデン新大統領は、パリ協定に再び参加し、就任時に新大統領としての行政権を使い、他の様々な政策変更を行い始めようとしている。
バイデン新大統領の新たな行政手腕が問われることとなる。
当面はその手腕を静観したい。
尚、国連のグテーレス事務総長は、気候変動に関する国際協定となるパリ協定への米国の復帰を歓迎している。
即ち、1月20日に発表された声明の中で、グテーレス事務総長は、米国のバイデン新大統領が協定を再締結する為の措置を温かく歓迎すると述べている点、付記しておきたい。

一方、新型コロナウイルスに関する世界保健機関(WHO)や各国の対応を検証するWHOの独立調査委員会は1月18日、中国本土のみならずWHOの初期対応も不十分だったとする中間報告書を公表している。
2021年5月のWHO年次総会で最終報告書を提出することとなっているが、その一報である。
新型コロナウイルスは昨年1月上旬、中国本土湖北省武漢市で最初に感染拡大が深刻化し、世界に広がったことは周知の事実であるが、この報告書は、
「昨年1月に中国本土の国や地方の保健当局がより強力な対策を取ることができたのは明らかである。」
とし、中国本土政府の初動に遅れがあったことを明確に指摘してもいる。
中国本土政府はこうした自らに都合の悪い国際社会からの指摘には、強く非難した上で無視するであろうが、世界はこうした中立機関の視点を尊重、中国本土やWHOが取るべき責任は追求した上で、今後の対応を謙虚に検討すべきである。

また、その新型コロナウイルスの感染拡大によって開催について再議論され始めた東京五輪については、東京五輪開幕まであと6カ月となる中、開催都市・東京では未だに非常事態宣言が発令されており、主催者は異常な準備をしなくてはならなくなっているとの見方が世界からは出てきているようである。
この問題についてもしっかりとフォローしていかなくてはならない。

そして、最後に、日韓関係に言及しておきたい。
韓国の裁判所が日本政府に元慰安婦らへの賠償を命じた判決が1月23日に確定したことを受け、韓国政府は、
「日本軍慰安婦問題は世界で類のない、普遍的な人権侵害の問題として、国際人権規範をはじめとする国際法に違反したものであることを直視すべきである。」
との声明を発表した。
韓国政府が直接、慰安婦問題を国際法違反と指摘するのは異例であるとはしている。
しかし、日本政府は、
「国際法に従って1965年に既に韓国政府に対して、その責任を認めて陳謝の意思をしっかりと示した上で、賠償を実施している。
そして、その慰安婦賠償金に関しては、日本から賠償金を受け取ったにも拘らず、それを慰安婦たちに支払わなかった韓国政府に問題がある。」
と言う点をもっともっと韓国と国際社会に対して、強く、強く示していく必要がある。
それを今になって日本に責任を押し付けることこそ、大問題である。
更に、普遍的な人権侵害を韓国政府が口にするのであれば、世界中に普遍的な人権侵害は発生していること、特に、韓国も、ベトナムに於いて、
「普遍的な人権侵害」
を行なっていたことは周知の事実であるにも拘らず、それを棚に上げて、日本にだけこうした批判をしてくるのは全くの論理矛盾である。
文大統領には猛省をして戴きたい。

[混沌の世界を垣間見る三つの視点]
2020年、世界中の実力のある企業が有償増資と株式公開(IPO)などの株式の発行を通じて調達した資金総額が史上初めて1兆米ドルを超えたと報告されている。
主要企業は、
「昨年、新型コロナウイルス感染拡大によって冷え込んだ経済が2021年から回復していくことを狙って大規模な資金の確保に乗り出したことがこうした背景と見られており、一方ではまた、各国政府のセーフティネット拡大を主たる目的とした金融緩和政策を取ったことによって、金融市場が資金潤沢状況、言い換えれば、バブル経済状況となり、こうして市場に放出された資金が株式市場に集中し、こうした株式市場を通した旺盛な資金調達現象となった。」
と見られている。

台湾では、
「米中覇権争いは熾烈となっているが、不思議と、その米中に於いて、ほぼ同じように、中国本土と米国、両国の政府は、自ら開発した、IT技術を軸とする新興技術を背景とした自国の巨大な新興、巨大企業に成長している企業たちに対して独占禁止の措置を講じるという政策姿勢を示している。」
との見方が出てきている。
即ち、米国では、大航海時代以降の既得権益層に対抗するまでに成長してきたフェイスブック、グーグル、アップルなどのGAFA企業が対象となり、一方、中国本土では競争力の維持、拡大の方向に動き、イノベーションを促進することを望んで、業界で支配力を強めているアリババやテンセントなどを対象にして、独占禁止法を背景に、中国本土政府が圧力を加え始めているとの見方である。
「情報を制する者が世界を制する」
との意識の下、米中は、国家間で、
「情報覇権争い」
を開始、覇権争いを展開しているが、両国共に、足元の自国企業が、政府の言うことを聞かないことはおろか、政府の意向に応じないことは大問題となる。
従って、政府の意向を従順に聞かぬ可能性の出てきたこれら大企業に対して、
「独占禁止法」
と言う法を適用しながら、警告を発し始めたとの見方もできると言うものである。

フランスのマクロン政権は、昨年末、イスラム過激派対策法案を承認した。
マクロン大統領は長きにわたって非宗教的な価値観を支持しており、その一環である今回の法案は、自宅学習やヘイト(憎悪)スピーチにまつわる規制などを厳格化するとし、この新法案は、
「保護の為の法律」
であり、ムスリム(イスラム教徒)を過激派の手から自由にするものだと説明している。
しかし、
「イスラム教は世界中で危機に瀕している宗教である。」
とのフランスのマクロン大統領から発せられたこのようなコメントは、フランスのイスラム教徒の住民を心配させることともなっている。
そして、一部の批評家は、今回の法案は、マクロン大統領が「イスラム分離主義」と呼ぶものと戦う為に設計された法案であり、行き過ぎではないかともコメントしている。

世界は様々な意味で混沌となっている。

引き続き宜しくお願い申し上げます。

以上

 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光
 


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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