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2016年4月[Sanada発 現場から]


[中国本土経済]

はじめに
 中国本土経済が世界経済に与える影響力は増しているように思います。
 そこで、今回は中国本土経済を概観しておきたいと思います。

中国本土の実力や如何?
「言った者勝ち、やった者勝ち」
的振る舞いを繰り返す中国本土に「義」はないと私は考えます。
 世界史をリードした歴史のある大国には、もう少し、大人の対応をして欲しいところですが、これもまた、現実です。
 従って、日本としても中国本土に対して、言うべきことを言わねばなりませんが、そうは言っても現実の中国本土の実力が脅威であると言う側面もあります。
 闇雲に中国本土に対して批判や不満を示しても喧嘩になるだけで、そこはこちらも、
「大人の対応」
をしなくてはならないと思います。
そこで、そうした視点から先ずは中国本土の実力、現状を見ると、
1. 人口は世界最大の1,368百万人、潜在的な労働者と消費者の数が世界一の国。
2. 国内総生産は11兆3,800億米ドルを超える世界第二位の経済大国。
3. 一人当たりのGDPは、8,300米ドル弱と経済国として発展途上中。
4. GDP成長率は6.9%と経済大国のなかではトツブ。
5. 外貨準備高は3兆2,000億米ドルを超え、世界ダントツ首位。
6. 経常収支黒字は2,200億米ドル弱と世界第二位。
7. 輸出は2兆3,000億米ドルを超え、世界一。
8. 輸入は1兆9,600億米ドル弱と世界第二位。
9. 貿易規模は4兆2,000億米ドルを超え世界一。
と立派な経済大国なっています。

また、
1. 粗鋼生産は8億トンを超え世界一。 但し、昨年は前年対比マイナス2.3%。
2. 造船容量は8,000万トンと世界一。 但し、今年は世界に8,000~9,000万トン程度の需要しかなく、経営ピンチか?!
3. 石油消費量は521百万トンと世界第二位。 但し、今年は景気後退により、消費減速か?!
と言った状況が垣間見られます。

 そして、2015年は6.9%の経済成長を記録、
1. 固定資産投資前年対比10%増
2. 鉱工業生産同8%増
などにそうした背景を見ることができますが、公共投資の前倒しなどによるものと見られ、
1. 輸出の同2%減速を背景に内需も痛み、実体経済も今一つ、不冴えなることから、
2. 電力消費増加率同0%
3. 鉄道貨物輸送増加率同マイナス10%
と実体経済の悪化は顕在化して来ているようです。

 こうした状況にあって中国本土はどう動き、そのなかで、特に日本に対して如何なる対応をしてくるのかを日本としても先読みしつつ、動くべきでありましよう。
 あまりに中国本土経済には依存し過ぎず、言うべきところは言いながら、中国本土の前倒しなどに公共投資の需要などをしたたかに掴みながら、中国本土との賢いお付き合いを目指すべきかと思います。

中国本土経済の現状を如何に見るか?
 中国本土経済については、様々な見方が錯綜しています。
 私にとっては、その、悲観論、楽観論、中庸説、いずれも可能性のあるものと思われ、それぞれ否定できないと考えています。
 そして、大切なことは、
「中国本土経済は、変化の幅が大きい、即ち、ボラティリティが高く、一般的には、リスクが取りにくい状態にある。
 従って、中国本土経済に関与していく際には、常に、非常時を考え、リスクヘッジが出来るようにする、例えば、分かり易い例を上げれば、中国本土ビジネスに携わる際には、極力、代金回収を早くする、相手がこれに応じぬ際には、何処まで、許容できるかを、その信用力で見極めると共に、中国本土政府の政策スタンスの朝令暮改程度などを見極め、例えその中国本土側カウンターパートが信頼出来ても国家政策の変更により、私たちの債権が侵害されないかを見極めると言ったことが重要となる。」
と考えています。
 さて、こうした中、中国本土の中央銀行である、中国人民銀行の周小川総裁は、北京で開催された、
「中国経済発展ハイレベルフォーラム」
で演説し、その中で、
「国内総生産(GDP)に占める負債、特に企業債務の割合が非常に高い。
高過ぎる負債比率はマクロ経済の危険要素である。」
とコメントしたと伝えられています。
 これは、重要な現状認識であり、また、中国本土政府は、人民の雇用を守り、社会不安を発生させぬために、こうした企業の負債比率悪化と言う弊害が出ることを承知の上でこうした発言をしているものと思います。
 これから予想されることは、
「企業の負債比率悪化の悪影響を金融機関に一旦背負わせ、その結果として、金融機関の不良債権が増加すると、国家がその不良債権を買い取る、最終的には国家の財政にも悪影響が出る可能性がある。」
と言うことであり、そうした可能性を私たちは認識すべきかと思います。
 もちろん、そうならぬように、中国本土政府が未然に対応する努力をしましょうがリスクはあります。
 そして現在、中国本土のGDPに占める企業債務の割合は160%、負債全体の割合は230%に達しており、正に中国本土経済の一つの大きなアキレス腱となっていますから、こうした対応をせざるを得ないとも言えます。
 一方、周総裁は、中国本土の外貨準備高が急速に減少していることについては、
「自然な現象である。」
とコメントしていますが、人民元の通貨防衛を背景とした外貨準備高減少は中国本土政府にとっては実は「痛し痒し」であろうと思います。
 そして、私の見方とすれば、中国本土は、国際通貨基金のSDR構成通貨入りし、
「人民元の国際通貨化」
を定着させる上からも、為替介入をしてでも、
「人民元の米ドルに対する一定の価値を維持する。」
と言う姿勢に出る一方、輸出回復を急ぎ、中国本土経済をいち早く回復させる為に、米ドル以外の通貨に対しては、
「人民元安を促す。」
と言う政策スタンスを取っていると私は考えています。
 実際に、ロイヤルバンク・オブ・スコットランド(RBS)は最新のリポートでは、
「人民元は対米ドルで上昇しているが、他の主要通貨を含むバスケット通貨に対しては2.9%下落している。」
とコメントしており、私はこの辺の政策展開に中国本土政府の現状分析を基にしたしたたかな政策遂行能力の高さを感じます。
 中国本土経済に対しては、引き続き、高い関心を払っていきたいと思います。  

引き続き宜しくお願い申し上げます。


 
以上
 
愛知淑徳大学 ビジネス学部・ビジネス研究科
教授 真田 幸光


真田先生のプロフィール
真田 幸光氏(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部教授。
1957(昭和32)年生まれ。81年慶大法卒、東京銀行(現・東京三菱UFJ銀行)入行。韓国延世大学留学、ソウル支店、資本市場第 一部、BOT International(H.K.)Ltd.出向などを経て、97年独系ドレスナー銀行東京支店・企業融資部長。98年愛知淑徳大学ビジ ネス・コミュニケーション研究所助教授に就任。2002年4月同 教授、2004年4月より現職。
著書は『日本の国際化と韓国』、『アジアの国、日本』など多 数。 NHKクローズ・アップ現代などテレビ、ラジオ出演をはじめ、中小企業大学校ほか活発な講演活動を展開中。
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